2009年10月08日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト12[Friday Night in San Francisco]【音楽の神が憑依した戦慄の一枚】

90年代にアンプラグドという奇妙なブームがあった。ハードロックやらなにやら激しい音楽をやっている連中が神妙にいすに座って自分の持ち歌を生ギターで弾く。

エリッククラプトンのレイラはかなりアレンジもされていてバックの人間も凝っていてMTVで見ていて面白かったが、他は最悪だった。マイケルシェンカーのUFO時代のユーキャンロックミーのアンプラグドをCDで聞いたが、ただエレキを生ギターにしただけだった。

ブームはあっという間に終わった。やはりエレキ系の音楽をやっている人間がただ生ギターに持ち変えればいいというものではない。生ギターには生ギターの魂があり、それをゆさぶり目覚めさせることができる人間は少数なのだ。

自分がブームを冷ややかな目で見ていたのは、これ以上のアンプラグドはないだろうという名盤をアンプラグドブームのずっと前の高校生時代に知っていたからだ。


Friday Night in San Francisco. 1981. Al Di Meola, John Mclaughlin, and Paco de Lucia. Columbia.


Friday Night in San Francisco
Friday Night in San Francisco

物悲しいアルペジオで始まる一曲目Meditteranian Sundanceはリズムを刻みながら徐々に三人のボルテージが上がっていく。それに伴い衝撃的な信じられないスピードでソロが展開する。それも揃いも揃った名手三人の超高速の流麗なフレーズ。すさまじい速さでありながらしっかりと楽曲に組み合わされたパッセージ。いくら速くても絶対にミスらない機械のように精密でありながらも繊細な三人。はちきれんばかりのテンションの高さで最後に開放される!

信じられない。絶句した。しかし曲の美しさに引き込まれ、ぐいぐい聞き進んでいく。四曲目のFantasia Suite for Two Guitarsはとてもかわい感じで、まるでギターが何かのパーカッションにでもなったようだ。

かわいい感じでほっとするのもつかの間、また最後のGuardian Angelで凄まじいまでの三人のテンションに巻き込まれる。

また絶句。本当に彼らは人間なのだろうか。人間がここまで楽器を弾くことができるものなのだろうか。音楽の神というのが存在するのならまさに今ここに、この彼ら三人に憑依しているのではないだろうか。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:今はいろんな情報が入手できるようになってやっと分かったのですが、三人でやっているのは最後の二曲だけなんだそうで、後は二人のいろいろな組み合わせでやっているそうです。初めて聞いたときどの部分が誰なのかずっと悩んでいましたが(ウィキペディア『ライヴ!』参照)なぞが解けました。それから、ユーチューブでアルがデヴィットレターマンズショーに出て、Fantasia Suiteを弾いているものがありますが、インタビュー部分で、偉大なギタリストを三人挙げてくれといわれて、ジャンゴラインハート、ラリーコリエル、あともう一人聞き取れない人をあげていますが、こんなところに彼のルーツがあったとは意外です]
posted by ロック小僧 at 01:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月07日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト11[The Clarke / Duke Project]【現代ポップスの雛形になった教科書的アルバム】

今日もちょっと時間ができたのでおいちゃんのCD屋に行ってみる。人に頭を下げる仕事もなれてきたが、おいちゃんの店は仕事から自分を切り離すことができるオアシスのように最近つとに感じる。

ジャズ喫茶なるものが昔は流行ったそうだが、きっとこんな感じのほっと安らぐ不思議な空間だったのだろうか?

そういえばおいちゃんからは宿題が出ていた。リターントゥフォーエヴァー(長いので以下RTF)で変な「宇宙志向」があるのはだーれだ。

という問題だった。RTFには腐った安物SF音楽みたいなメロディー回しや大げさな雰囲気があって、これがどうにも好きではない。家に帰ってチックコリアが入っていた頃のマイルスを聞いたが、チックにはそんな趣味はなさそうだ。アルディメオラはラテン志向で、宇宙志向はない。となると、まさかまさか彼なのか・・・

お:はい、あたりだよ。スタンリークラークに決まってるじゃないか。

部:うーん、そうなの、スタンリークラークはジェフベックとやったロックンロール・ジェリーとかソロのスクールガールとか知ってるよ。でもそんな気配はあったかな?なんか証拠は?

お:あるよ、これ!

とおいちゃんは何やらコンパクトなボックスセットを一つ出した。スタンリークラークの全盛期のときの5枚のアルバムが一気に入ったボックスセットだ。

最近Sony BMGからはジェフベックなどほかの大物も同じボックスセットで売られている。あの頃、レンタルレコード屋で高額で一枚一枚を借りていた身としては、最高に輝いていた当時のスーパースターが安っぽい紙の箱に大量に納められているのをみるのはうれしいようで実はとっても悲しい。

おいちゃんがその中の一枚を取り出す。Modern Manというアルバムだ。

お:これはもう単発では手に入らないアルバムなんだよ。良かったじゃないか、ええ、ボックスで復活して(おいちゃんは江戸っ子なので、江戸弁を想像してください)。

といってCDをかける。うわ!これほんと?何かのB級SF映画のサントラみたいだ。こういうと失礼だが、チョッパーびしびしの黒人の長身の男が妙なSF志向があるとは思わなかった。ちなみにこのModern Manにあのベックとの名競演ロックンロールジェリーも入っている。

お:お徳だよ、買いなよ。後悔しないよ。

部:い、いや、ちょっとこの安っぽいSF調にはどうにも吐き気が・・・う、うん?

そのとき箱に収められている五枚の中にぴかっと光るマッチ棒頭があった。

The Clarke / Duke project. Sony. 1981.
The Clarke/Duke Project, Vol. 1
The Clarke/Duke Project, Vol. 1

念のためボックスセットのほうも
Original Albam Classics. Stanley Clarke. Epic/Sony BmG. 2007.
Original Album Classics
Original Album Classics

マッチ棒頭というのは要するにアフロヘアのことなのだが、多分中学生のときロッキンFで始めてみたアフロ頭はスタンリークラークだったと思う。そのスタンリーの頭の二倍はある大きさの太いマッチ棒がスタンリーのマッチ棒と仲良く並んでいる。

部:こ、これは、ジョージデュークのSweet Babyが入っているじゃない?

お:おお、そうだよ。流行ったねえ。

部:ソウルのゆったりしたバラードがかっこいいと思ったのはこれが初めてじゃないけど、つぶやくように歌い始めて突然裏声で訴えかけるようなこの歌い方。なんかこの後のMTV世代のルーサー・バンドロスとか絶対にヒットするブラック・コンテンポラリーの雛形になったというか。

お:まあ、黒人が裏声で歌うのはずっと昔っからだけど、今風のというか80年代の必殺パターンの先駆者だあな。

部:うーん、まさかスタンリークラークとやっている曲だとは思わなかった。

お:他の4曲目I just want to love youなんて、ほんとその後のMTV音楽の母体になったような気がするし、Never judge a cover by it's bookなんて短いけど、何十曲ものポップスがこのスローで陰鬱な感じのパターンを真似しているよ。

部:うーん、出たのがまだ81年だということを考えると、まさに先駆的、その後のポップスの教科書になるようなアルバム…

お:そうだよ、買いねえ、買いねえ、ロック部長は作曲が好きなんだろ?今ならただでスタンリークラークのほかの四枚もついてくるよ!

部:・・・

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:二曲目オールディーズのルイルイだけはずしたような気もしますが、後は本当に現代ポップスの典型的なパターンが皆聞くことができるお手本のアルバムです。クラーク・デュークは一枚で買えます。ボックスの方はスタンリークラーク、RTFの熱烈ファンならお買い得だと思いますが、そうでない場合はうーむ、どうしようか…]
posted by ロック小僧 at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月06日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト10[We want Miles]【雷撃マイルスが聞ける珍しい一枚】

マイルスデイヴィスをはっきりと嫌いというジャズファンは、昔からのジャズ好きにも私のようなこの数年でマイブームになったような人間にもいないと思うのだが、あんまり好きではないという人は相当多いと思う。

なにせ、名盤とされるビッチェズブリューもインアサイレントウェイもカインドオブブルーも首をひねるような音楽で、これの何が楽しいのだろうか、とよく分からないものが多い。どこかでぶわーと盛り上がるのを期待してじっと聞くのだが、そういう盛り上がりがあると思わせていつも何もない。

マイルスを商品としてみてみると、その見た目や、鋭い目つき、精悍な肉体から発するオーラ、何か非常に情熱的で官能的で激しい音楽をやっているようなイメージがあって聞き手は勝手にそう思ってしまうのだが、これらの「迷盤」にはそういうところがない。

あえて古いアルバムを探せば、マイルストーンなんていうかっこいい激しい曲もあるのだが、むしろああいうものが例外で、マイルスは静かな音楽を中音域を多用して吹く人なんだなと思わざるを得ない。

ところで、マイルス好きの漫画家というのは結構いるようで、新しいところではジョジョの奇妙な冒険の荒木先生(こら!ジョジョネタはやめなさいと言われているでしょ!)とか、古いところでは、BBというボクシングの漫画があって、それを書いた石渡治氏はいくつかミュージシャンの漫画を書いたこともあるせいか、BBに出てくる主人公はボクシングもやるが火の玉トランペットも吹く男で、聞くものすべてが落雷に打たれたような衝撃と感動を覚えるという設定になっていて、これがきっとマイルスの音楽なんだろう、と高校生の頃は思っていた。

実際、新しいの古いのと何枚も何枚もマイルスを買って、ああ、またはずれ、またはずれ、と火の玉落雷トランペットに出会うことはほとんどなかった。

We want Miles. Miles Davis. Columbia/Sony. 1982 (live in 1981)

We Want Miles
We Want Miles

ところがこのアルバムの三曲目Fast Trackだけは違っていた。

このアルバムのジャケットでは、アーミー風のタンクトップにこれまた砂漠の攻撃隊風アーミーズボン、精悍な肉体のマイルスがトランペットを押さえ込んでいるようにうめきもがいている。まさにマイルスのイメージぴったりのジャケットだ。

ああ、まただまされるのか、もうだまされたくない。でもベースのマーカスミラーとかギターのマイク・スターンとか後ろのメンバーは凄そうね、メンバーにだまされて買ってみるか、と買ってみた。

三曲目Fast Trackだけは違っていた!

一曲目のJean-Pierreはまたいつものゆっくりした良く分からないマイルス節の曲で、ああ、やっぱりね、と思わせる。

三曲目Fast Trackだけは違っていた(いいから、早くその三曲目の話をしてよ)。

二曲目のBack Seat Bettyといういかにもアメリカン・ハードロックみたいな曲名の曲もマーカスのチョッパーベースがビュンビュン鳴るが結局やっぱりまた例のインアサイレントウェイのような深海をアンコウが泳いでいるような音楽だった。ああ、もうマイルスはどうでも良いや。いっそ大嫌いになれたら良いのに。

ところが、三曲目Fast Trackだけは違っていた!すごいぞすごいぞ!これは一体なんなんだ!本当に本当に落雷に打たれたような凄さだ!かなり早いビートのリズムを超高音域ですさまじい速さのマイルスが駆け抜けていく。まさに凶悪な殺人マシンガンをトランペットに置き換えたような凄さだ!

高校生のとき読んだBBの一場面、アメリカに密入国するBBが、船の甲板で死んでしまった友人のために嵐の中トランペットを吹く。雷撃に打たれたようになって動けない周りの毛むくじゃらの水兵。そのイメージにぴったりだ!

マイルスはこういう曲もできたのか…なんでこういう曲をもっとやらないのだろう。

結局残りの曲はまたいつものマイルス節に戻ってしまう。もっと落雷を!もっと火の玉を!という気持ちがまた出てくる。

見事にイメージ戦略にやられてまたなんか別のアルバムを買ってしまうんだろうなあ…

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:ほかの曲もよく聞くと曲はスローですが、マイルスのプレイ自体はかなり熱い物を感じます。ある意味この時期の一番調子が良かったときなのかも。東京でのライブ(どの曲なのかは私が持っている輸入版ではわかりませんが)も入っています]
posted by ロック小僧 at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月05日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト9[Swing Street Cafe]【大御所二人のブルースにはまる一枚】

アメリカには絶対に売れる曲が作れる魔法のフォーミュラというのがある(あった!?)。それはジャズメンのバックでソウルシンガーが歌うというパターンで、グローバー・ワシントン・Jrのワインライト(1980)に入っているJust the Two of Usなんていうのがジャズファンとしては馴染みがある。

その少し前にクルセイダーズがランディー・クロフォードをフューチャーしたStreet Life(1979)のStreet Lifeなんてのも売れに売れた曲だ。このパターンはケニーGとマイケル・ボルトンにも受け継がれた。

ジャズのバックで歌があれば何でも売れるかというとそうでもなく、Fourplayなんかも歌入りの曲が結構あるが、意外に売れない。やはりソウルメンでないとだめなのだ。I'm a soul manでないと!ソウルとジャズはレコード屋では別分野になっているから違う分野のものなんだろうが、なぜかこれがアメリカでは黄金の必勝売れ筋パターンになった。

その後もクルセイダーズのピアノマン、ジョー・サンプルとランディー・クロフォードは息が合うのか、最近も二枚ぐらいCDを出しているが、それは今のブログの紹介している年代と合わないので、また後の楽しみにしておくとして、ではジャズ・ピアノメンとソウル・ギタリストの相性もきっと良いのではと思い、買ってみたくなるのがこの一枚だ。

Swing Street Cafe. Joe Sample-David T Walker. Verve. 1981.

Swing Street Café
Swing Street Café

って、ジョーサンプルはいいとして、このDavid T. Walkertって誰?とこのアルバムが発売された時代は現役ギタリストだった私も知らなかった。それでいろいろ調べると、どうもスティービーワンダーやらジャクソン5やら、マービンゲイやらフォートップスやらモータウン系を中心にセッションを行っていた超ベテラン・ソウルギタリストというではないか!

最近日本のドリームズカムトゥルーのアルバムに参加したそうで、最近になって日本でも注目されたってことなんだけど、こんなすごいキャリアのギタリストなのにこれまでぜんぜん気づかなかったなあ。高校三年から大学4年までソウルとファンクに狂っていた私としては、彼のプレイは間違いなく聞いているんだけど、クレジットまでは見てなかったなあ。

というわけで、この二人が合体すると果たしてどんな黄金のヒット曲が生まれるのか!

どりゃどりゃ針を下ろしてみよう。

す、すごいぞ、一曲目からレイチャールズのカバーでおなじみのHalleluja I love her soががんがん流れる。「これってブルースじゃん???(スウィング・ストリート・カフェってタイトルにはいつわりあり!)」なぜか、ジャズ・フュージョンの大御所とソウルの大御所が二人合体したら、全曲ノリノリのブルースアルバムになってしまった。

特に五曲目のWoke up this morningではウォーカーのぶっとい丸いギターのメロディーで始まり、ブルース・ピアノの流れるようなソロ、バックのホーンもがんがん吹きまくって、かっこいい。

最後のAfter hoursももう真っ黒けのスローな曲で、ジョーサンプルのルーツを思いっきり堪能できる。

二人ともとても楽しそうで、聞いているこちらもすっかりブルースにはまってしまうそんな一枚だった。


[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。そういえば母体のクルーセイダーズも入っていないなあ…]

[初心者・入門者へのお勧め度:レイチャールズやBBキングが好きな人は何十回でも聞けます]
posted by ロック小僧 at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月28日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト8[Full Force]

中学生から大学生まで音楽は実験だ、と思っていた。常に新し物を求めて変化するのが音楽だと思っていた。疲れることもあったが、面白かった。

中学生のとき友達からただでもらったセミアコの国産ギターをディーボのように上半分を切ってみた。その後バンヘイレンのようにテープをべたべた張ってみた。そのギターは最後は切るところがなくなってネックだけになってしまった(ごめんなさい、○○ちゃん)。

トーキングモジュレーターというものをピーター・プランプトンやジェフ・ベックが使うらしいと聞いて、アルミの箱を買ってきてスピーカーを埋め込み、穴を開けてピアニカの管をつけてみた。30Wアンプのスピーカー端子から音を引っ張ってきて、口に管をくわえて弾いてみると、頭が痛くなるだけだった。

大学時代はお金もたまりシンセサイザーで大実験だ。といっても8音しか出ない音源モジュールで大変だ。カラフルで華麗な曲は作れない。発想を変えて、おんなじコードで同じ楽器構成で延々延々続く曲を作ったりした。

音楽は常に少しだけ新しいことをしたから流行っていたんだと思う。

そもそもビートルズが流行ったのは人よりちょっとだけ違う髪形をし続けたからだという。ちょっとだけ髪が長かったり、ちょっとだけもみ上げが長かったりしたのだろう。その進歩的なところが音楽の根源だ。

ジャズはそもそも最初にテーマを吹くと、その後にどんな演奏がくるのかは分からない。アドリブという名の壮大な実験音楽のようにも思うが、実はそうでもないらしく、本当に実験的なフリージャズはあまり好かれていないらしい。フリージャズまで行かなくても、チャールス・ミンガスのピテカントロプス・エレクトスとか、ハービーハンコックの処女航海とか、セロニアスモンクも聞きにくい。

聞きにくいがしかしはまるとミンガスもハンコックも面白い。しかしさすがに新し目でこういう人たちはいないんだろうなと思っていたら、ちゃんといた。

Full Force. Art Ensemble of Chicago. ECM. 1980.
Full Force
Full Force

うーん、これはすごい。ジャケットに惹かれて買ってみたんだけど、これはどこかの難民キャンプだろうか。何か社会性のあるテーマを演奏してくれそうでおもしろそうだ。

どれどれ、針を下ろしてみよう(CDをかけることです)

うーん、うーん、うーん。実験、実験、また実験。すごいねこれは。なんなんでしょう?子供が泣いていたり、変な笛がなったり?しかしこれは誰かにすごい似ている。というかそっくりだ。生き写しだ。

そう、ミンガスのピテカントロプス・エレクトス。マンモスの鳴き声などを真似していたあのアルバムは衝撃的だったが、これはあの雰囲気をそっくりそのまま受け継いでいるじゃないか。

それもそのはず、三曲目のタイトルがCharlie M.となっている。これはもちろん、チャールス・ミンガスに捧げるということなんだな、うん。

しかし、演奏テクも高そうで、まじめにやっている部分は結構面白い。それぞれの楽器の音もきれいだし。

しかしこれは結構、集中して聞くのはつらい。三曲目あたりでなぜか眠気がしてくる。そして最後の5曲目Full Houseのエンディングで目が覚める。そのエンディングはなぜかジャジャーン、という良くある終わり方ではなく、ピッチ合わせの各楽器のチューニングをやっているみたいだ…

うーん、しかし1980年にジャズとしてこんな実験をやっている人たちがいたのは驚きだ。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。入れろというのが無理なのか、フリージャズはみな嫌いなんでしょうか?]

[初心者・入門者へのお勧め度:うーん、いやしかし、うーん、いやしかしと頭をひねりながらしばらく聞いた後、ばたっと深い睡魔に襲われるかもしれません。面白いと思う確立63%ぐらい。ミンガス、モンクが好きな人は文句なしで好きでしょう]
posted by ロック小僧 at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月26日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト7[Heavy Weather]

フュージョンお兄さんというのがいた。

あれは私が中学生の頃だった。ディープパープルのバーンやハイウェイスター、ツェッペリンの天国への階段やクリームのストレンジブルー、クロスロードなどを完コピできるようになり、さあ、ドラムとベースでもいればバンドデビューできるのに、と虎視眈々(って14歳だったけど)誰か一緒にやってくれるいい人いないかなとスカウトするつもりで(本当に14歳?)、アマバンの演奏を見にいくと、なぜか、その頃パープルやツェッペリンをやっているグループは皆無だった。

その代わり、ベースの弦をンペンペ引っ張るヘアバンドを巻いたお兄さん、ヴァンのボタンダウンシャツを着たさわやかなお兄さん、なぜか妙にテクがあるドラムのお兄さん。にぎやかなパーカッションお兄さん。そしてとどめにかわいいキーボードのお姉さんが何やら歌のない軽い感じの曲をやっていた。

これがフュージョンお兄さんたちだ!

フュージョンお兄さんたちを見ると、うーん、歌があったらもっと楽しめるかな、などと思いつつ、あの人はテクないね、あの人はうまいねなどとじっくり吟味していた(おいおい、その頃14歳だろ?)。フュージョンはテクがあるかないかばれやすい。

コンプレッサーをかけすぎのギターお兄さんは常に軽蔑の対象だった。

そんなお兄さんたちがお客を総立ちにさせる曲はいつも決まっていて、一曲目はギターが突然ずっこけたように始まる、今思うとラリーカールトンの「夜の彷徨」に入っているルーム335、そして二曲目はこのアルバムの一曲目だったんだなあ。

Heavy Weather. Weather Report. 1977. Columbia.
Heavy Weather
Heavy Weather

もう無条件に体がうきうき反応する1曲目Birdlandは、必ず総立ちノリノリだった。やられるほうは「やられたー」と思いながら、仕方なく総立ちに付き合わざるを得ない。

これと同じパワーを有する曲があの頃のロックお兄さんにはなかった。ツェッペリンもクリームもパープルもなんか白けていた。

オールド・ハードロックのちょうど衰退期だったんだなあ。ジョンボーナムも死んじゃったし。

そんな誰がやってもかっこいいBirdland以外の曲はどうなのか。哀愁漂うジャコパスのフレットレスベースの二曲目A Remark You Madeもいいし、ちょっとミステリアスな三曲目Teen Twonも面白いし、物静かな海辺が情景に浮かぶHarlequinもいいし。あれもこれもそれもこれも。

なんか悪い曲がないのもどうなんだろう?

それにこの音作りとかコード展開ってこの後、日本の大人の歌謡曲とか日本のJazzuシンガーとかに真似されててすごい氾濫していたように思うなあ、あれ、聞いたことあるぞここだけ。ていうのがとても多い。

それだけ避けて通れないアルバムなんだろうけど、個々の演奏も最盛期という感じでまとまっていてもうっかりアマチュアがコピーはできない。そんな感じで忘れられない一枚だなあ。

[スイングジャーナル誌ランキング:なぜか、なぜか30位です!みんな大好きだったんですね]

[初心者・入門者へのお勧め度:曲としても完璧、個々のテクも完璧、これ以上何を望めばいいのでしょう?フュージョンの完成形です。あえて言えばギターがいないのが寂しい。アマバンで聞いたときはいたような記憶が…]
posted by ロック小僧 at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月19日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト6[No Mystery]

 今日は久しぶりにおいちゃんのレコード屋もといCD屋(というのだろうか…)をのぞく。ここしばらく、部下の女王もどきのジャズへの造詣の深さに驚く毎日だったが、いかんせん彼女とは仕事以外での会話のきっかけを作るのが難しい。

たまに一人でぼうっと好きなものでも聞くか・・・

おいちゃんは元気そうだ。

お:あのさあ、あの、のだめもどきちゃんね、あれから何か聞いてないの?なんかちょっと寂しくてね、前よく来てくれたから。

部:うん、結婚してからぜんぜん連絡ないし。東京に住んでないし。

お:そう寂しいねえ。まあ、今日は活きのいいCDが入っているからゆっくり見ていきなよ。

と江戸っ子堅気まるだしだが、何やら元気がない。ちらほら店内にいるお客さんを見る。どうも定年したばかりの人と見られる世代の人が必死にジャッキー・マクリーンのCDを漁っている。ブックオフでも以前見かけた光景だが、ジャズのCDを買うのは、もうこの世代以外にいないのだろうか。

そう考えるとおいちゃんの寂しさの理由もなんとなく分かる。

何気なく並んでいるCDを見ると、懐かしいものがある。

No Mystery. Return to Forever. Polydor. 1975.


No Mystery
No Mystery

お:あれ、それ、まさか知らないの?そんなことないでしょ?

部:いや、懐かしいなあと思って。大学出てアメリカに行ってすぐ小さいレコード屋で買ったかな、ていってもアメリカってなぜかテープ屋で。

お:あー、そうだね。80年代−90年始めぐらいのアメリカって、カーステレオでテープ聴く人が多かったから、音楽はテープでしか売ってなかったんだよ。CDは日本より普及の速度が遅かったんだな、これが。

部:うん、そうそう、それでカセットで買うと中にライナーも何にもなくて。かろうじて曲名が分かるようなぐらいで。

お:うん、うん、それでどうなの、ロック部長は(おいちゃんは私のことをロック部長と呼ぶ)やっぱり、これにはまったの、大好きなアルディメオラでしょ。

部:うーん、そうだね、聞いたとき、ああ、アルディメオラの「エレガントジプシー」みたいで、なんか安心して。この辺にルーツがあるんだなって思って。でもキーボードがうるさいな、とか。へー、スタンリークラークってこんなことしていたんだとか。

お:そりゃチックコリアだもん、アルより目立たなきゃ。

部:そうなんだよね。アルディメオラのソロアルバムはヤンハマーというやっぱり稀代の名キーボーディストが支えたけど、対等の関係というか、真剣勝負というか。つかず離れずというか。でも、このリターントゥフォーエヴァーは、アルはグループの一人という感じが強いよね。

お:へえーどの辺にそう感じるんだい。

部:うーん、曲を完成させるためにアルはあるみたいな(沈黙)

お:やだねえ、若いのにいまどきそんなオヤジギャグ飛ばさないでよ。

部:え、うん、ほら、ディメオラがソロでワウワウを踏むことはなかったんじゃないかと思うけど。このNo Mysteryは、二曲目Jungle Water Fallや四曲目sofistifunkでも使ってて驚いた。嫌がるのをチックコリアに踏まされたんだ、きっと。音が合うからとか言われて。

お:うーん、そう?でももう一枚の「浪漫の騎士」よりは、個人の特徴がずいぶん出てるよ。

部:確かにディメオラ節炸裂してる曲も多いし、スタクラも超絶速弾きをさらっとこなして。うまい感じでファンクのリズムの曲も多いし。

お:そうだねえ、クロスオーヴァーとかフュージョンて、もうこの年代になるとどういうのが売れるか分かっていたのと、ファンクのリズムも普通のポップスに取り込まれているから、売れる音楽を作りやすかったんだろうねえ。まあ、受け入れられやすいってのかな。

部:そういう意味では、「浪漫の騎士」のほうが変に楽曲を作りこんだんだろうね。

お:そうだよ、各メンバーの力量とか、楽しんでやってるかどうかってのはこっちのNo Mysteryのほうが上だあな。

部:確かに。聞いて外れない、元気なフュージョン!って感じはするよね。でも未だに、この人たちの宇宙志向って言うか、変な2001年宇宙の旅みたいな感覚とか大げさな節回しとか誰のセンスか分からないんだ。ラテン感覚はディメオラ、ジャズはチックだろうけど…

お:お?知らないの?これはメンバーの一人の…内緒内緒・・・今度CD教えてあげるよ。それ聞けば一発で誰のせいでRTFが大げさな宇宙志向になったか分かるよ。今日はそれを買うんでしょ。次来た時教えてあげる。

部:え?これ、もう耳にたこでできるくらい聞いたから今日はいいよ。ジャケットがディープパープルのバーンみたいで見てて苦しいし。

お:あ、そう。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。リターントゥフォーエヴァーは10位に例のかもめのジャケットが入っていますが、あれを聞けるくらいなら、こっちのほうが良いのでは・・・すみませんかもめファンの皆さん]

[初心者・入門者へのお勧め度:血がたぎるというか、熱くなれるというか、すごいぞ、みんなの演奏力!そして楽曲が短いのが気にはなりますが、楽しい曲も多いです。浪漫の騎士とは志向性が違います]
posted by ロック小僧 at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月30日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト5[Blow by Blow]

相棒の「女王の教室もどき」がクレーム処理の仕事の後、むっとしてしかめっつらいるのは、もしかしてこの仕事が好きでないからではなく、単に疲れているからかもしれない。体の糖分が切れるとえてして人はこうなる。

車で社に帰る夕方のこんなときは、本当だったらちょっとファミレスでも入って二人でお茶を飲むとかすれば元気が出るんだろうが、なにせこちらにそのガッツがない。

法務部兼クレーム処理班兼セクハラ対策班の部長としては、なかなか気楽に女性の部下を飯や飲みに連れて行けない。

こういうときは仕方がないから、元気の出る音楽でもかけよう…カーステレオのCDにちょっといつもとは毛色の違うCDを入れてみる。

隣に座っている女王もどきから今日はどんな罵声が飛んでくるか・・・

「部長・・・これは!」

「来た!」

Blow by Blow. Jeff Beck. 1975. Epic Records.
Blow by Blow
Blow by Blow

「やりますね、ジェフ・ベックじゃないですか。ジャズを聴こうとする人は身構えてしまって、他の分野の人たちを聞かないようにして、時には軽蔑したりしているもんなんです」

「???(心の声:それは一体、ほめてるの?けなしているの?)」

「でもこのブロー・バイ・ブローはすごいわ。この中のCause We've Ended as Loversなんかは、ジョン・スコフィールドが編集した100 Years of Jazz GuitarのCDにも選ばれてるし。曲名にTheloniusなんていうのもあるし」

「いや、すごいね、ほんと君は良く知ってるね。普通ロック好きはScatter Brainしか聞かないんだよね。変拍子が凄いとかいいながら」

と私がうれしそうに言うと、急にまた彼女の顔がしかめっつらの皮肉屋風になった。

「・・・部長は、なんでまたこんなのを聞いているんですか。部長のJazzの趣味は釣りで言えばあれですね、護岸にメバルを釣りに行ったはずなのに、フグばっかり釣ったり、海岸でキスの投げ釣りをしているはずが、シャコが釣れたり、そんな感じばっかりですね」

「え、い、いや、中学校からロック小僧でギターを弾いてたからね、これも中学で聞いたアルバムだなあ、あの頃あんまり好きじゃなくて、なんか難しい音楽をやる割にはギターのテクニックは今ひとつだな、なんて思ったけど、今聞くとすごいかっこいいね。どの曲もスリリングでリズムが黒くて。いつの時代にも通用するかっこいいアルバムだよね」

「まあ、中学のギター坊やでジェフベックよりうまいのがいたら見てみたいわ」

「・・・い、いやその、実は他のギター御三家のクラプトンやジミーペイジは歌が入っているはずなのに、ジェフベックだけインストなのが、中学生には馴染まなかったのかも」

「まあ、あるアルバムが好きになれない言い訳はいろいろできますわ。でも、部長がギターを弾いていたなんて知りませんでしたわ。あれですね、若いときにJazzが聞けなかったから今あわてて聞いているっていうわけですね。分かりました」

「いや、そういうわけでも・・・いや結構当たってるかも・・・CDの大人買いとか学生時代なんてできないし」

「まあ、いいですわ、どうぞジャズをいろんな角度からお楽しみください。そろそろ地下鉄の入り口だわ。この辺で降ろしてください」

「う、うーん、じゃあ、今度は社でお昼にでもゆっくりとジャズ評を・・・」

「そんな暇はありませんわ。あ、私はどっちかというとジェフベックなら、ロッド・スチュワートが抜けた後のジェフベックグループがかっこいいとは思いますね。それじゃあ」

そういうと彼女はまた地下鉄構内の入り口へと足早に消えていくのであった。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。ジャズ・フュージョンとはみなされなかったのでしょうか?]

[初心者・入門者へのお勧め度:かっこよすぎます。リターントゥフォーエヴァーとかラリーカールトンとかよりもかっこよいと思うのはロック小僧の血が騒ぐせい?リズムの取り方とか、最高です]
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2009年08月09日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト4[Mister Magic]

 今日もクレーム処理で女王もどきと一緒に頭を下げる。

 女王は顔立ちやふるまいも「女王の教室」に似ているので、彼女が頭を下げると相手の社長は気がひきしまるのか、緊張するのか、美人が丁寧に頭を下げるとそれ以上追求できないのか、「後はなんとかしましょう」ということで処理が終わる。

 ついでに私も温和な顔で「寛大なご処置ありがとうございました」と頭を下げる。

 車に乗って戻る途中、一度も一緒に夕食を食べたりしたことはない。法務部兼クレーム処理班はセクハラ事件処理班も兼ねている。大きい会社ではセクハラ事件処理班がないところはない。

 うっかり彼女に「今日は疲れたね、一緒に晩御飯でもどう?」などというと大変なことになる。20年前自分が入社したときはこうではなかった。大変な世の中の変化だ。

 仕方がないので、また今度ブログに載せようと思っているCDをカーステに入れてきまずい沈黙をごまかす。

女:「部長、これは・・・」

部:「来た!女王が反応した!」

Mister Magic. Grover Washington Jr. 1975. Motown.

Mister Magic
Mister Magic

女:「また、どうしていつも部長は王道をはずすんですか。グローバー・ワシントン・JRといえば、「ワイン・ライト」でも聞いていればいいじゃないですか」

ブログですでに紹介したんだとはいえないので、ごまかす。

部:「う、うん、いや、ほらこのプールの水底からざぼあっとあがってきてかに男みたいに泡をぶくぶく吹いているジャケットがすごくてね、いや、ぶくぶくがじゃなくて、肺活量がさ、サックスを吹く人は肺活量がすごいんだろね」

女:「…何を言ってるんですか、口から泡ぶくぶくはCDだったらライナーの裏写真で、表のジャケットは口からぴゅっじゃないですか」

部:「口から・・・」

 沈黙が訪れた。いかんいかん、ここでぎゃはははと笑っていいのだろうか。下手に笑うと後で何を言われるか分かったもんじゃない。

部:「ま、まあ、それに前回聞いたのがハービー・ハンコックのすごいファンク色あふれるヘッド・ハンターズだったから、これを続けて聞くとほとんど違和感ないよね」

女:「というか、この人のこのアルバムはファンク・マイナス・歌みたいなつくりじゃないですか。ギターがワーワーかけてソロを弾きまくったりして」

部:「(心の中で)ワーワーなんて知ってるんだ・・・相当音楽をやったんだな彼女は(心の声終了)」

女:「ワイン・ライトが好きな人が聞けるのは二曲目のPassion Flowerぐらいだわ。後はマイケルジャクソンに歌わせればマイケルのアルバムに、JBに歌わせればJBのアルバムになるわ、アオ!っていえばマイケルに、ゲロッパっていえばJBに」

部:「JBって、もしかしてジェームズ・ブラウン」

女「他にどんなJBがいるんですか」

部「(心の中の声)これは只者ではない、下手に知ったかぶりをすると大やけどかも…(心の声終了)」

女「まあ、でも仕方がないわね、この「ミスター・マジック」はモータウンのジャズレーベルから出ているわけだから、音が似ていてもしょうがないわ」

部「う、うん、そうだよね。でもすごい演奏力だよね、息が切れず果てしなく長く続く早いパッセージとか、周りのファンキーなリズムとの兼ね合いとかすごいセンスだ、この人しかこういうサックス吹く人いないよ、ワインライトしか聞かないなんてももったいないよ」

女「まあ、部長はもっと普通のジャズでも聴いたほうがいいわ。ここでおろして頂戴」

部「え、あ、地下鉄の駅入り口・・・」

こうして女王はまた地下鉄構内へと吸い込まれるように消えていった。

[スイングジャーナル誌ランキング:ワイン・ライトは入っていてもこれはやっぱり入ってないんですねえ。黒人音楽好きには止められない音ですが・・・]

[初心者・入門者へのお勧め度:高い演奏力、長い構成のしっかりした曲、リズムの取り方、いろいろ勉強になります]


posted by ロック小僧 at 21:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月01日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト3[Head Hunters]

今日は社内食堂でランチ中に女王を見かけた。

なにやら彼女は一人で食べている。友人がいないのだろうか。性格がきついから仕方がないのだろうか。

しかし、こういうときも普段からまめに一言声をかけておくのが上司のエチケットだ。

部:「あー、おっほん、今日は外回りはなさそうだね。いつもここでお昼を?」

女:「別に今日はたまたまです」

部:「あ、あっそう、ちょっと前から聞こうと思ったんだけど、仕事に何か不満があったら、問題が大きくなる前に言ってね。この間、人のために頭を下げるのは好きではないってことだけど」

女:「いいんです、もうどうでも」

部:「あ、あっそう、ちょっと聞こうと思ってたんだけど、ジャズ詳しいんだね。驚いたよ。それでちょっと聞きたいんだけど、ジャック・ジョンソンの次は何を聞いたらいいかな。なんかお勧めはないかな」

女:「そんなの、好きなのを適当に聞けばいいじゃないですか。ルールがあるわけでもないし」

部:「そ、そう、そうだよね。じゃあ、こんなのはどうかな」

Head Hunters. Herbie Hancock. 1973. Columbia.

Head Hunters
Head Hunters

女:「・・・」

部:「なかなか良いと思うんだけど」

女:「いるんです、よくこういう。マイルスのメンバーの一人をずっと追いかけて聞いて。それで自分もリスナーとして成長していると勘違いしている人が。別に私と関係ないですけど」

部:「ま、待って、これは結構ジャズのエポックメイキングだと思うんだ」

女:「ただもう有名になってしまって、やることのなくなったハービー・ハンコックがファンクを取り入れただけでしょ、ばかばかしい」

部:「む、そうじゃないぞ。ただファンクを取り入れるんなら不自然なところとかぎこちないところがあるはずだが、一曲目カメレオンなんて、ファンクからジャズへそしてまたファンクのリズムへと変幻自在のカメレオンのようにシームレス(継ぎ目がない)だぞ」

女:「何を変なところだけ英語を使っているんですか。ファンクが力のあった時代だからジャズメンがファンクを取り入れようとしたのはただ当然の成り行きじゃないですか」

部:「いやー、そうじゃないぞ、ハービーでなきゃできないアルバムだ。三曲目Slyなんかもライナー読むとSlyのイメージはあっても彼の音楽から影響を受けて作ったわけではないと書いてあるし、これは完全にもうハービーワールドだな」

女:「ハービーワールドってなんですか。名前をかわいくすれば良いってもんじゃありませんよ」

部:「いや、がっちりした壮大な曲の構成力とか、リズムの取り方の黒さとか、やっぱり「処女航海」の時から脈々と流れる彼の血があるんだよ。なんかほかのジャズが黒人らしさを消そう、消そうとしているのに対して、彼は堂々と黒人にしかできない音楽を、しかも西洋音楽の理論に乗せて構築していく、そういうチャレンジをしているんじゃないのかなあ」

女:「ふーん、どこで読みかじった話ですか、これだから初心者はまったく」

女王は飲んでいたコーヒーの紙コップを置くと立ち上がった。

女:「でも、案外当たってるかもしれないわね。歌がないジャズは体で感じたとおりに思うしかないわ。今日は営業部と午後打ち合わせでその後そのまま帰ります。さようなら」


[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。ハービーの最高傑作だと思うのは私がファンク好きだからでしょうか?]

[初心者・入門者へのお勧め度:ジェームズブラウンとか、プリンスとかスライストーンが好きならハービーのファンクワールドを楽しめると思います]





posted by ロック小僧 at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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