2010年01月07日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト1,[doo-bop]【何度でも聞けるまったく新しい音楽を創造した一枚】

時代は変わる。時代は進む。それを止めることは誰にもできない。でも去ってしまった時代を自分の中で育てて大きくすることはできる。そう、きっと天国にいる彼もいまの後輩たち、子どもたち、孫たちを見てそう思っていることだろう。私にはそれが分かる。

doo-bop. Miles Davis. 1992. Warner Bros.
*マイルスが録音できたのは1991年です。

Doo-Bop
Doo-Bop

時代の幕開けはいつもマイルスで始まっています。しかし今回は、始まりであるとともに一つの時代の終わりにもなっています。マイルスが1991年に録音したこの遺作は、ジャズに存在しない完全に新しい方向性で生まれてそして完結しているアルバムです。



このアルバムのテーマは街で聞こえる音楽に自分のジャズを融合させること。街ではラップやヒップなストリート音楽が聞こえる。それに自分も一体になる。このアルバムの前に出したTutuに入っていたPerfect Wayのような遊びではなく、本当のストリート音楽として通用するものを作る。

マイルスは数人の若手プロデューサーをオーディションし、その中からイージー・モー・ビーを選びました。彼が後ろのトラックを作り、それをマイルスに聞かせ彼が納得すると、「よしやるか」とがっとペットを握りマイクに向かい、まるでボクサーのような一撃でテイクを取る。そうして六曲までできました。

しかしマイルスはその9月にちょっと病院行って来る、軽いいつもの検査だと言ったきり、二度と戻ってきませんでした。

この頃マイルスにはほかにRubberBand Sessionと呼ばれる完成前の途中のテープがありました。今度はモービーがそれを聞きました。よし、これに俺が魂を乗せる!そうして四曲目High Speed Chaseと七曲目Fantasyが生まれました。

こうして完全にストリート音楽の形式とマイルスの魂が融合した作品が生まれました。これまでどこかプラックな感じのするアルバムを作ることを拒んできたようなマイルスですが、ブラックとかそういうことは関係のない時代が訪れました。またジャズなどという殻に閉じこもる必要もなくなりました。

今生きている街から感じられることの全て。それらと時代に果敢に挑戦するマイルスを待ち望んでいる人たちとを一体にする。それがマイルスの夢。そんなアルバムが生まれました。

そして彼の時代は終わりました。ここからは私たちが彼の魂を引き継いでいくのです。

文責 女王の教室
叱咤激励担当 ロック部長

[スイングジャーナル誌ランキング:あまりにもジャズという形式を突き抜けすぎたせいか入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度(担当ロック部長):明けましておめでとうございます。連載再開しました。今回の連載からときどき『女王の教室』の女王様似のあの彼女に執筆を担当してもらうことになりました。新しい時代を生きる決意をした彼女のジャズ観は、この20年のジャズの発展をどう捉えていくのでしょうか?楽しみです。このマイルスのアルバムはどの曲もすばらしく、何度でも何度でも聴くことができます]








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2009年11月23日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベストおまけとお知らせ [Question and Answer] 【やりたかったことがやっとできた幸せ】

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表は20枚目まで一気に終わりました。いつもだと5枚を紹介してちょっと気がついたことを紹介したり、寄り道や雑談をして又進むという感じでしたが、今回は一気に来てしまいました。

なぜかといえば、何とかブログを始めてから一年以内に1950−1990の時代を二周りしたかったからです。また申し訳ないのですが、ちょっと12月はブログが書けそうにないからです。

少し休憩をいただいて一月のお正月明けの1月7日ごろにジャズ名盤20(1990-2010)としてまた再開したいと思います。

ところで、最後にこの時代を象徴する一枚。これです。

Question and Answer. Pat Methey/w Dave Holland &Roy Haynes. Nonesuch. 1989.

Question and Answer
Question and Answer

ジャコパストリアスとジャズのあるべき姿を若いときに熱く語ったパット・メセニーは結局本格的なジャズ活動をするまでずいぶん長い回り道をしたようですが、これできっとやりたかったことをやったんでしょう!

ジャズは思えば不思議な音楽。ジャズをやりたいのに時代のせいでやれなかった人が多かったのではないでしょうか。まあ、ハードロックやプログレだって、あるいはクラシックだってもそうかもしれませんがね。

一曲目のマイルスのソーラーから最後まで、ギターでトリオを組むとこうなるんだろうなというシンプルな姿が浮かび上がります。メセニー得意のオーネット・コールマンの曲も五曲目にあります。

もっとも、残念なのは彼の演奏はトランペットやサックスのようなホーンの代用をギターがしているだけのようにも聞こえて、ジョーパスのような凝った作りこみや、ウェスモンゴメリーのような躍動感は今ひとつないのですが。

それでもずっとやりたかったことを今やれた!という心の奥からの開放感はあると思います。

ジャズ名盤20(1990-2010)では新生代のジャズがどうなっていくのか、1990年から現代まで追いかけます。あの人も!この人も出てきます。

休憩をもらっている間に過去記事同士のリンクを貼ったり、まとめのページを増やしたりしますが、原則新しい記事は書きませんので、それではしばしの間お別れですが、また来年お正月明けにお会いしましょう。


ロック小僧
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2009年11月18日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト20[Standard Time Vol.1]

【ジャズの復活を宣言する時代の光明となった一枚】

最近女王様(注:わが社の法務部兼クレーム処理班兼セクハラ処理担当部門の社員で「女王の教室」に出ていた天海祐希似で、私と一緒に外を回って頭を下げてくる役割を受け持つ)と一緒に車で外を回るときは、ジャズをかけていなかった。

女王様がジャズに詳しいのは分かったが、いつもむすっとしていて何かにお冠のようで、どういうタイミングで肯定的な反応のスイッチが入り、どういうタイミングでは反応しないのかかよくつかめていないから、面倒くさかった。

それで車内ではFMラジオだけ適当につけていた。彼女は仕事先から車で戻る途中で、いつもささっと地下鉄や電車の駅に逃げるように車を降りていった。

車が臭いということもないし、お口もくちゅくちゅぺ!うわ、こんなに汚れているの?をしているので、私のお口が気になるということもないだろう。原因は分からなかった。

しかし今日は私はあせっていた。なにせ、記念すべき第二回発表のトリを勤める20枚目のアルバムを決めなければいけないからだ。

あれもいいし、これもいいし、一体どれにすればいいんだ。人生の時間は短い。一日はとても短い。一日に何枚も聞くことはできない。学生時代は何とかできたが、ロック小僧20数年後のこんな仕事人間の現状では何とか時間をやりくりしないとアルバムをじっくり聞くことすらできないのだ。

仕方がないので、今日はもう女王様のことなどどうでもいいので、女王様と頭を下げた帰りの車で、彼女の表情を無視してCDをかける。

むいいいん。

「こ、これは…」

来た!女王様が反応した!

Marsalis Standard Time. Vol.1. Wynton Marsalis. Columbia. 1987.

Marsalis Standard Time, Vol.1
Marsalis Standard Time, Vol.1

「…」

と思ったらどうしたんだろう。何も言わない。ジャズ不遇の時代にピリオドを打ち、新生代のジャズが生まれようとしているこのアルバムが気に入らないのだろうか?

「これは…」

ちらっと横目でみるとなぜか彼女の目からすうーと涙が出てきた。そんなにこれは名盤なのだろうか。いや、どうも様子がおかしい。

「どうしたんですか」と改まった上司言葉でたずねてみる。

「これはウィントン・マルサリスですね。スタンダードタイムの一枚目・・・」

「うん、そうなんだけど」

「ごめんなさい、これは思い出があるんです」

「へー?どんな」

「部長はジャズに一生懸命なんですね。ブログを書いているって他の同僚から聞きました。なんか私の大切だった人もジャズが好きだったんです」

「ふ、ふーん?マルサリスが好きだったの?」突然の告白に少しあわてる。

「ええ、彼はサックス・プレイヤーだったんですけど。ごめんなさい、私のことをぜんぜんこれまで話してなくて。私が10年少し前にまだ10代終わりの頃でアメリカに留学していて」

「ふーん、そうなんだ」

「私は高校時代不良で親があきらめて私をNYに送りこんだんです。それで適当に絵の勉強をしていて」

「ふーん」

「彼は音楽学院に留学していて。私はジャズは知らなかったけど意気投合して、朝から晩まで彼と一緒にジャズを聞いてた。何も他になかったけどそれで楽しかったの。彼が学院に行っている間、私はレストランで皿洗いのバイトをしたりして」

「ふーん、そうなんだ、それでジャズに詳しいんだね」

「でも、ある日、気晴らしに、アメリカ人の友達からぼろぼろのアメリカ車を借りて、ちょっと二人で郊外まで運転したの。すごい夕日がきれいだった」

「ふーん、そうなんだ」

「でも、帰りにどうしてなのかわからないけど、田舎道を運転していたら、車が滑って」

「うん?」

「そのままちょうど道路わきにあった池まで滑っていって」

そこでまた彼女のほほに涙が伝わり始めた。

「うん、話せないなら無理に話さなくて良いよ」

「でもこのアルバム、彼が、おれのやりたいジャズはこれなんだ!ジャズは2000年になったら復活するって。このカセットを最後の日に車の中でかけていたんです」

「・・・」

「車は池に落ちて、沈んでいく車の中で、彼が私のシートベルトをはずしてくれて、私の側のドアも開けて、私を外に押し出したんです。でも彼は間に合わなくて。自分のシートベルトが外れなかった」

「・・・」

「でも彼、笑ったんです。最後に見えたときに。私は暗い水のなかに押し出されて。この曲もまだカーステでかかってたんです。沈んでいく車の中で」

「・・・そうだったんだ」

私は他に何もいえなかった。私も留学したときにいろいろな事件や事故を見てきたが、いつも決まってこういうときは何もうまく言うことができない。

「だから、あまりジャズのことは思い出したくなかったし、車に長時間乗っているのも実は怖いんです」

「・・・そうだったんだ・・・」

車は女王様が降りるいつもの地下鉄の駅についた。彼女は無言で降りようとした。私のトヨタ・マークXのステレオからは、四曲目Goodbyeがかかっている。

私は何か言わなければいけないような、何も言ってはいけないような気がした。

「それでも・・・」やっと私の口から言葉が出た。

「え?」彼女は半分外に乗り出した体を止めて振り返った。

「そろそろ前に進まなきゃいけないんじゃないかな。私も20数年前のロック小僧でずっと停まってたんだ。おんなじ音楽を何回も何回も何回も何回も聴いて。最近それがジャズのおかげで少し前へ踏み出せるようになったんだ」

女王はちょっと笑った。これまでに見たことのない笑顔だった。女王様などと呼んでは失礼な素直な顔だった。

「そうね、そうかも」

彼女は軽くドアを閉めて地下鉄の駅へと消えていった。


[スイングジャーナル誌ランキング:な、なぜ入っていないんだああ!]

[初心者・入門者へのお勧め度:マルサリスの演奏は冷たいとかいうのはうそです。録音が良いだけです。音を拾うマイクにリミッターをかけているからでしょう]
posted by ロック小僧 at 17:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月16日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト19[Fourmost]

【オヤジたちのオヤジたちによるオヤジたちのためのオヤジ賛歌】

フュージョンが盛り上がって盛り下がって、MTVが盛り上がってまさに最盛期に(結局MTVも90年代に入りアンプラグド・ブームで失敗。盛り下がるのだが)往年のスター・ジャズメンは一体何をしていたのだろうか。特に60年代に活躍した若手ミュージシャンなどはきっとこの時期、脂が乗ってミュージシャンとして一番円熟しているはずだ。
商業ブームに乗れなかったのは仕方がないとしても、せめてどんな演奏を60年代に青年だった「中年オヤジ」たちがこの時期繰り広げていたのか、聴いてみたい。

Fourmost. Jimmy Smith. Mile Stones Record. 1987.

Fourmost
Fourmost

と思っていたら、凄い面子に出くわした。少なくとも3人(ジョニー・スミス、スタンリー・タランタイン、ケニー・バレル)はこのブログの常連さんである。グラディ・テイトは馴染みがなさそうだけど、スタンゲッツのSweet Rain[5月31日過去記事参照]でドラムを叩いているんでやっぱりもう読者は彼のプレイを聞いているんだなあ。

ジャケットをぱっと見れば、みんな青年時代の面影がまだ色濃く残っているではないか!もっとも、もともと青年時代から濃い顔の人たちのような気もするので当たり前か。

何やらライブハウスの前で楽しげに四人のオヤジが傘をさして微笑んでいる。いいなあ、こういうジャケット。ケニー・バレルのミッドナイトブルーのジャケットなんてエルビスも真っ青の好青年だったのにやっぱり誰でもオヤジ化するんだなあ。

どれどれCDに針を下ろしてみよう。ライブではあるがさすがに80年代後半、音は良い。一曲目Midnight SpecialはゆっくりしたR&B調。ジョニー・スミスもケニー・バレルもブルースが得意だからこんな感じになるんだなあ。この黒っぽいけだるさはいいなあ。ジョー・サンプルなんかのしゃきしゃきしたR&Bとは違った、だらーん、ごろーん、のびのびー、という気だるさだなあ。

二曲目のMain Stemは静かなジョニーのオルガンに始まり、ケニーのギター、タランタインのサックスとだんだん盛り上がってジョンロードも真っ青の豪快なオルガンソロに引き継がれ、最後はまた静かに終わるという曲。この緩急は凄い。

その後、Summer timeとか有名な曲がケニーのギターで弾かれ、とどめはやっぱり6曲目マイ・ファニーバレンタインだろう。ボーカルはグラディ・テイトが取っていてかなり低いバリトンで優しく語りかけるように歌う。その後ろをゆったりと流れるオルガン、滑らかなギター。これはマイファニーバレンタインの元祖であるチェットベイカーともマイルスとも違う、そう、なんかオヤジが歌う演歌のようだ。

何かアルバム全体が親父賛歌で包まれている。親父にしかかもし出せない壮大な優しさに満ちている。

最後七曲目はアップテンポでオヤジでもやるときはやるんだという意気込みでどんどん突っ込んでいく。それにしてもみんなうまい。ケニーバレルのギターなんてとてもコピーはできそうにない。それはどのオヤジたちの技術もみんな同じだ。

とても高いところで全力疾走したかと思うと、だらーん、ごろーんと気だるい味も出す。朝から晩まで張り詰めてばかりの若者には絶対出せない味。

それがこのオヤジアルバムには溢れている。

[スイングジャーナル誌ランキング:入ってないよなあ…]

[初心者・入門者へのお勧め度:それぞれの面子のファンならぜひ聞いて欲しい一枚。オヤジたちの見事な絡みに納得する]

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2009年11月11日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト18[Duotone]

【MTV時代の寵児・鬼才なのに聞きやすい一枚】

音楽を伝達する媒体の進化が音楽そのものを変えることは良くある。例えばステレオだ。今は当たり目過ぎて誰も気がつかないステレオ効果だが、ピンクフロイドやビートルズの曲をステレオで聴いたときは度肝を抜かれた。

それに比べて同じ時代なのに日本の歌謡曲はステレオ効果がつまらない曲が延々と続いた。多分ラジオやテレビでかかることを意識していたからなのだろう。

そう、媒体は音楽を変える力を持っている。あの彼ももしかすると媒体がマッチしていなければ日の目を見なかったかもしれない!

Duotone. Kenny G. Arista Records. 1986.

Duotones
Duotones

というわけで、ケニー・Gです。彼ほどMTVという新しい媒体に映えるジャズメンはいないのでは。

「え〜ジャズにカウントしていいの」という不満も聞こえてきそうですが、それだけジャズをポピュラーにしたということですね。ちゃんとプレイボーイが選んだ名盤[特別記事参照]にも選ばれています。もっとも前回ちょっと紹介したドント・ウォーリー・ビーハッピーまでもが選曲されているから、このころの「ジャズ」というカテゴリーはかなりアバウトだったのか。

ケニー・Gの経歴はあんまり知られていませんがメジャーになるまでの下積みが結構長くて、ジェフ・ローバー・フュージョンというバンドなどを経てソロになってソロになってしばらくしてからまさにMTV時代という大きな波が来てようやく大ヒットした。MTVがなかったらどうなっていたのだろうかと興味深々だ。

MTVの印象としてはどっちかといえば、この後に出たライブのGoing Homeなんかが真っ青なバックグラウンドで何か神聖な儀式のような感じで吹きまくっていた彼の印象が深いが、どれ、とりあえずCDに針を下ろして・・・みないでも一曲目Songbirdは心の中にその細部までもありありと響く。

ケニーのルックスと違ってこの曲から見える情景はノルウェー辺りの湖と海が連なっている様子。深い樹木の茂り、そこに憂いを称えた男性が遠くの雪をかぶった山の頂をぼんやりと眺めている・・・ような気がする。何かとても広陵で冷え冷えとした情感がわく。

アメリカのミュージシャンなのに変だなというのが最初の印象だった。

人によって見える景色は違うかもしれないが、夜とか、寒いとか、樹木とかそんな感じではないだろうか?

一曲目はテクニックも控えめに演奏しているように思うが、二曲目のソウル調のMidnight Motionから彼の必殺技が次々と炸裂する。誰だよ、ケニーは歌謡曲だと言ったのは。

と思っていたら、三曲目Don't Make Me Wait for Loveは見事なまでに、グローヴァーワシントンジュニアで確立されたソウルシンガーPLUSジャズメン=黄金のスローバラード=ヒット曲=歌謡曲というパターンである。歌っているのはやっぱり当時というかこのちょっと後でMTVの寵児になったマイケルボルトンだとずっと思っていたんだけど、実はLenny Williamsというソウルシンガーでした。いいなあ、この曲は泣ける。

六曲目のWhat Does It Take (To Win Your Love)という曲も力強いソウル曲だ。歌っているのはEllis Hallというボーカリスト。なんかサックスは補助というか、一曲ぐらいは吹かなくても大丈夫だよという潔さがある。

結局ソウルの曲と彼らしいノルウェーの森のような曲とがバランスよく配列されたアルバムになっている。そして結構長い。聞き応えがある。1曲目が大好きな人は9曲目Estherも聞き逃せない。私としてはケニーはこの路線が一番合っていると思うんだなあ。

ちょうど自分がアメリカに留学なんかに行っていた頃ケニーGは流行っていた。寮の学生食堂で朝から晩までかかっていた。あの後カシオから出たおもちゃのMIDIサックスを買ってGoing Homeを吹いて遊んだっけなあ。

MTVの時代ってアメリカが輝いていたなあ。

[スイングジャーナル誌ランキング:意外にも入っていなかった!]

[初心者・入門者へのお勧め度:ジャズも売れるということを知らしめたというだけでなく、聞いていて気持ちのいいジャズもあるんだということが分かった一枚。歌謡曲?いやいや侮ってはいけません]



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2009年11月08日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト17[Vocalise] 【早口のラインダンス音楽が好きならはまる一枚】

ロック好きでもありジャズファンでもある人間にとって非常に興味あるのがジャズの名インスト曲に歌をつけてみたらどうなるのだろうかということだ。

きっと面白いのだろう・・・いや、きっと原曲が壊れてだめになってしまうのだろう・・・などなど期待と不安が入り混じる。

マイファニーバレンタインのようにマイルスデイヴィス版がインストで、チェットベイカー版が歌入りになっているというものもないわけではないが、徹底的に歌の要素を追求するとこうなるというのを聞かせてくれるのがこのグループ。

Vocalise. Manhattan Transfer. 1985. Atrantic.

Vocalese
Vocalese

というわけで、ヴォーカリーズなのだがジャズギターの入門本でも紹介されてた覚えがあるし、アレンジの教則本のようなものにも紹介されていたような気がする。とにかくこのアルバムはコーラスを目指すものにとってある種お手本になる必聴アルバムらしい。

どれどれCDに針を下ろしてみよう。

うーん、一曲目That's Killer Joe、二曲目Ramboと中々華やかなバニーガールがラインダンスを踊っているような音楽で面白い。とにかく早口でメンバー五人(四人なのだろうか?表ジャケットでは四人で中ジャケットでは5人なのだが)が次々と入れ替わってにぎやかで面白い。

その早口で万華鏡のようにコーラスが入れ替わるのは三曲目Airegen。Airegenといえばとても有名な曲で、このブログで紹介したアルバムでは、マイルスデイヴィスのCookin'[2月22日記事参照]に入っている。うーん、こりゃ凄い。本当に万華鏡のようにくるくる入れ替わってカラフルな声の色でどんどん攻めて来る。オリジナル曲の一音一音も逃さないように丁寧に歌詞をつけて、それをものすごい早口で歌いまくる。

うーん、ちょっと疲れた。と思っていると、四曲目はスローな曲で少し落ち着く。

六曲目Another night in Tunisiaも有名なジャズの曲に歌詞をつけてみたものだが、アカペラになっていて、裏で一生懸命デュデュデュー言っているのは、ボビー・マクファーリン。ドント・ウォーリー・ビー・ハッピーで有名なあの人だ。何やら彼も早口でアラララアラララ言っている。この曲ボビーのSpontanious Inventionsというアルバムにも入っていて、なんかこのヴォーカリーズを買ったとき、損した気分になった(笑)。別バージョンかと思ったが、まったく同じ。

そんな感じで最後まで果てしなく早口でどんどん入れかわるコーラスが続くのだが、とっても時間をかけて丁寧に作ったなと思う反面、教科書的なコーラスというよりは耳が忙しくて聞くのが疲れるというのが最初の印象。

というか何回聞いてもちょっとこういうスタイルのバニーガールのラインダンス音楽を喜んで聞く人はもうこの地上には存在しないだろうなというのが本音かな。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:もしかするとこれの前の作品で、ウェザーリポートのバードランドが入っているExtensionsのほうがいいのかも…あるいはベスト盤でも買った方がいいのかも…]
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2009年10月28日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト16[Sophisticated Lady]

【ベテラン二人の楽しそうな一枚】

 前回に引き続き大御所の登場。音楽は楽しいのが一番なんだなあ。それも演奏している人たちが楽しければ回りはどうでもいい(?)じゃない。まあ、そこまでは言わないが演奏している人たちが楽しくなさそうだと聞いているほうも辛いのは確かだ。

Sophisticated Lady. Ella Fitzgerald & Joe Pass. 2001. Pablo Records.

Sophisticated Lady
Sophisticated Lady
*1983年の東京、1975年のハンブルクの演奏を一つにまとめたものです。

というわけで、ベテラン二人の演奏でCDが世に出たのはつい最近のようだが、録音自体は1−8曲目が1983年の東京、9−14曲目が1975年のハンブルクとなっている。

もしかするとこのブログの読者にもこれを見に行けた幸せな人がいたのかもしれない。

確かにファンも幸せそうだ。特に東京の方は拍手の音の大きさや気合がハンブルクと違う。もっとも日本が輝いていた頃、外タレ(これは死語?)をいくらでも自由に呼べた時代。日本でコンサートをやれば海外の無名の若手がその後母国や世界で売れた時代。そんな時代に日本に来た大御所二人の演奏は実に巧みだ。

ちょっと気になるのは、この編成、エラの歌とジョーのギターしかないところだ。ドラムもベースも何にもない。しかしそこは精密なギター職人、ジョーパスだから、まるで一人で何人もが弾いているかのようにバックの演奏に隙がない。抜かりない。

更に一番の気になるところは、ジョーパスが一人でギターを弾いている10曲目Waveとか11曲目Cherokeeとかだ。もちろんギターファンはその精密なコードメロディーの造りに惚れ惚れとするし、ノリのいいリズム感にも驚く。しかし、エラは、いったいエラは!

この間何をしているのだ?

まさかじっと相棒のジョーをずっと見詰めているのか、それとも衣装チェンジのため裏に引っ込むのか。この辺りがもったいない。出来れば全曲、歌をつけて欲しかった。もちろん歌詞がもともとない曲であってもなんかヤバダバヤバダバとでも歌って欲しかった。

そういう意味では、しっかり歌が入っている6曲目Georgia on my mindやヤバドゥビヤバドゥビ言っている8曲目Bluesetteが面白い。ブルース・エットじゃなくて、ブルーゼーと言っているところも参考になった。

でもこの不思議な二人のケミストリーが一番味わえるのはスローな12曲目Take Love Easyかな。このエラのふっとい低い声、またすうーと上がる高い声。自由自在に優しく語りかけるようにゆりかごを揺らすように歌いかけるのは本当に気持ちがいい。

エラ&ジョーというよりエラ&ジョー&ジョーだけ、みたいなアルバムだが、この時期にもベテランは健在だったのを知ることができる一枚。


[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:ジョーのギターには惚れ惚れしますが、もっと二人のケミストリーを響かせて欲しかったと思う一枚です。しかしこの二人は結構長くツアーをやったようで、うらやましいですね。ちなみに誰かウィキペディアのエラのディスコグラフィーをもっと更新してください。]
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2009年10月25日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト15[Studio Triste]

【アランフエスの圧巻の倦怠感が今再び】

 フュージョンが盛り上がり、そろそろブームも終了というとき、往年のベテラン・ジャズプレイヤーは何をしていたのだろうか、というのがとても気になるが、70年代の「CTIマジック」を放ったベテランたちは商業的には分からないが、音楽の完成度としては頂点に達していた。

70年代に活躍した、デオダードやジムホールらの、あのベテランたちの音をもう一度聞きたい!というのは誰もが思ったに違ういない。しかも80年代の高音質、録音で。

Studio Trieste. Jim Hall. 1982. CTI.

スタジオ・トリエステ(白鳥の湖)
スタジオ・トリエステ(白鳥の湖)

ということで、あの「アランフエス」([Concierto.2008年12月15日記事参照])よ、もう一度!という感じで、ジムホール、チェットベイカー、スティーブガットが集まった82年のアルバム。ロン・カーターがいない。入っていればアランフエスの再現セッションなのだが、ちょっと寂しい。しかし、このアルバム、あのアランフエスの陰鬱で退廃的で倦怠感のある不思議な音の連続がまた楽しめる一枚。

80年代というすこし忙しい時代を反映しているからか、それぞれの曲が短くなっているのが寂しい気もする。とは言っても一曲目のSwan Lakeは8分42秒もあるから、今の感覚で言えば十分長いが、アランフエスはなんと19分17秒もあった。まあ、アランフエスが長すぎたということなのだろうか。もっともアランフエスもこのアルバムもいくら長くでもぜんぜん飽きが来ない。一日中、ずっと続いても良いような不思議な感覚があるから面白い。

CTIはクラシックの曲を取り上げるのが一つの特徴だったわけだが、この一曲目、スワンレイクのあの有名なテーマの後に繰り広げられる倦怠感たっぷりのチェットベイカーのソロは最高だ。

二曲目All Bluesでもチェットのソロはたっぷり聞ける。ヒューバートルイスのフルートもその倦怠感に輪をかけて不思議な雰囲気を出している。フルートはジャズではちょっと出すべきか出さないべきか迷うような楽器だと思うが、適切なところに組み込まれると、サックスよりもよっぽど表現力がある。その後のエレピソロの倦怠感も圧巻。

大体「倦怠感」が圧巻という表現がおかしいと思うが、アランフエスといい、このスワンレイクといい、そういう倦怠感がぐいぐい押し寄せてくる。フュージョンのしゃきしゃきした若さ一杯みたいな音に慣れた人にはどうなのかわからないが、この退廃的な感覚は人間誰でも本能的に持っていると思う。

三曲目Malaguenaはお!アランフエスの再来?と一瞬思わせるオープニングでその後期待を裏切ってパーカッションの速いリズムからアップテンポになるラテン曲。ちょっとそれでもラテンフュージョンとは何かが違う。曲の展開がアルディメオラ風になってしまうところが驚きだが、しかしそこはジムホール、やはりジャズの弾き方でどんどんつなげていく。曲調は似ていても、チョーキング+速弾きで押し通すディメオラとはぜんぜん違うものになっていく。

真に圧巻なのは最後のDjangoだ。MJQがやった[2008年12月24日記事参照]曲だが、フランスのジプシー・ギタリスト、ジャンゴ・ラインハートに捧げた曲だ。最初のテーマをチェット、ヒューイ、ジムの三人が少しずつゆっくりと音を重ねていく。最高だ。とても物悲しい。物悲しいのが圧巻だというもまた変だが、MJQのほうは淡々としていた追悼曲のようだったが、何かこちらは心をえぐられるような感じがする。

ジャンゴがいなくなったことがどれだけ悲しみを与えたのか。これを聞くと分かる気がする。

全体に全員の演奏が細部までうまく重なりこれ以上の憂いをたたえたアルバムはないのではないかという造り。傑作だ。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:アランフエスと甲乙つけがたい出来です。これだけの寂しさ悲しさを表現できるのはこの人たちしかいないのでしょう。]
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2009年10月18日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト14[Invitations]

【フュージョンが終わったと認識された時代の完璧なフュージョンの一枚】

音楽は人に聞いてもらいたいという欲求と人に真似されたくないという矛盾をはらんだ両方の欲求を内包している。

誰も聞いてくれなければとても悲しい。真似されすぎると音楽が陳腐になり面白くない。

そこでミュージシャンは、ひたすら頑固職人のように自分のやりたいことをやるか、または時代に合わせて柔軟に自分を変えていく、それも時代に先駆けてちょと早めに自分を変えていくかのどちらかの究極の選択を迫られる。

ローリングストーンズや今でもバップをやっているような人たちは前者だし、ビートルズやマイルス・デイビスのような人は後者だろう。

どちらが成功するのかと言われるとなんともいえない。しかし、一つだけ分かっているのは同じようなスタイルで演奏するグループがわらわらと現れたそのとき、流行は終焉に入ったということだ。

Invitations. Shakatak. 1982.Polydor. Ltd.


インヴィテーションズ(K2HD紙/ジャケット仕様)
インヴィテーションズ(K2HD紙/ジャケット仕様)

というわけで、どの曲もどの曲も文句がつけようがないシャカタクのインビテーションズ。輸入版ではもう存在せず、日本版だけになってしまうのはシャカタクがイギリスのバンドだからなのだろう。

それにしても私が現役高校生だったとき、ちょっと年上のバンドはウェザーリポートを、自分と同じような人たちはこのシャカタクとか日本のフュージョンバンドのコピーで溢れ返っていたなあ。

クラスに一人フュージョン好きな友達がいて、Friday Night in San Francisco[10月8日記事参照]や日野皓正のレコードを貸してくれた。その後彼は亜蘭知子とか刀根麻理子など女性ボーカルにはまっていったが、フュージョンの「音」はもう楽器演奏が好きな大人の音楽ではなく、明らかに大衆のものになっていた。

自分も当時、アルバムの一曲目、インビテーションはシャカタクだと知らず、これをアマチュアバンドがやるたび、「お、八神純子をまたやってるな!」と勝手に八神純子の曲だと思って聞いていた。それだけ、普通の音楽に聞こえた。もっともメロディー回しがちょっとイーグルスのホテル・カリフォルニアみたいなところもあって、「すごいな、八神純子は。『水色の雨』からして日本人離れしていたもんな」などと更に勝手に深く解釈していたが、実はこれがシャカタクだった。

二曲目ルーズ・マイセルフもこのコーラスの入り方はすごいあっちでもこっちでも使われたような使い方だなあ。ベースがびこんびこんチョッパーで響かせるのも一世代前のスタンリークラークと違って当たり前になってしまったし。

三曲目ロンリー・アフタヌーンはスローな女性ボーカル入りで、ちょっとだけダイアナロスに似た性質のかわいい声でこれもお手本のような佳作。歌の後にサックスがソロをとるなどという、今聞くともういかにもなスタイルだが、しかし文句のつけようがない。

四曲目はまた八神純子風になり、五曲目はまたコーラスだけ女性ボーカルが入るシャカタクスタイルになり、七曲目ソル・フエゴなんかは速いテンポで全員の演奏力を競うような曲になっている。

最後インシャドウズはゆったりとしたピアノ曲でもちろんピアノの演奏力も高い。

アルバム全体ですばらしいシャカタク色が出ていてそれに統一されている。全体にこの音作りは当時、凄い流行った音作りだったんじゃないのかなあ。前述の亜蘭知子とか刀根麻理子もこんな音だったし、ちょっと聞いいただけで、歌謡曲も含めて、お!あの時代の典型的な日本の音!というところが面白いような悲しいような。

でもみんながみんなそうなると流行は終わり。やはりフュージョンの終焉はこのあたりで来たんだなと実感してしまう。

ライナーに書いてあることが面白い。「某雑誌に『フュージョンをつまらなくしたのは誰か!?』などという特集を組まれるようでは、フュージョン界もちょっと考えなおさなければならない時期に来ているのだ」とある。ライナーを書いている人たちですら、ブームが終わっていることを知っていたんだね。

ブームが終わったという共通認識の中出てしまった文句のつけようのないアルバム。残念ながら、時代はこの後MTV時代に突入し、ジャズ・フュージョンは商業的には苦戦していく。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:歌謡曲とフュージョンの境界がなくなるほど融合しそのせいでブームが終わった…というのを実感できる一枚です。ジャケットもジュディオング風です。しかし彼らに非があるわけではないような…]
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2009年10月17日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト13[Offramp]

【フュージョン嫌いが作ったフュージョンの傑作の一枚】

1981年というのはフュージョンの最後の当たり年なのか、次から次から傑作が生まれてきた。その多くは70年代にでデビューした若手が円熟味を増し、演奏技術が最高に達したから生まれた傑作なんだろうが、それにしてもこう傑作が多いと一体どれを取り上げようか迷う。

そんな中でも、あのジャコパストリアスがメジャーデビューする直前、ジャズとはこうあるべきだとフロリダの屋上部屋で共に熱く語り合った[2009年01月03日記事参照]このギタリストをずっとはずし続けるのは不公平な気がするので今日は紹介したい。


Offramp. Pat Metheny Group. ECM. 1981.


Offramp
Offramp

ということでパットメセニーのオフランプ。ECMから出ているわけだが、ECMのジャケットはうまいなー。ついつい、惹きつけられるなあ。ジャケット買いをしたのがもう何枚もあるよ…

で、内容はというと、一曲目はうん、これはなんか子どもにおもちゃのシンセサイザーを買ってあげると嬉しくてパオーパオーとか象さんの真似事をして遊ぶような曲だね。バックも変なインド風だし。どうもこのころ流行っていたギターシンセというのは、うまく使わないとおもちゃっぽくなるなあ。この曲はパス。

二曲目Are you going with me?はまたギターシンセだが、こっちはうまくツボにはまっている。ゆっくりしたメロディーがあるようなないような物悲しさが漂い、曲が進むにつれてだんだん展開が出てきてどんどん盛り上がる。ギターも多分ホーンのつもりで弾いていてフレーズがギターのそれではない。ここまで徹底するとギターシンセにした甲斐がある。うーん、なかなかの傑作。

三曲目Au Laitは出だしがちょっとトーリ・エイモス風だが、その後「ウッシャー」とかいうゾンビの吐く息が聞こえてくる。なにか怪奇映画のサントラ音楽風。うーん、本当にこの人ってジャコと熱くジャズを語り合った人なの?

四曲目はアップテンポでノセようとする曲なんだろうけどラリー・カールトンを知った後ではちょっと今ひとつノレないなあ。中途半端だ、これもパス。

五曲目は凄い。これは凄い。ギターシンセでフリージャズをやっている。何でもメセニーはオーネットコールマンをコピーしたりしていたそうだけど、その鬼気迫る感じは良く出ている。

六曲目のジェームスは今のフォープレイみたいなスムーズジャズ。これフォープレイの演奏ですといったら、みんな納得するくらいそっくり。メロディーもすぐれていて覚えやすい。傑作。

最後七曲目は環境音楽風のシンセがずっと白玉で流す曲。だが、こういう環境音楽の海の波みたいな曲がこの時代に出てきて、その後独立した音楽に育っていったところをみると、こういう切り口を最初に作ったフージョンの人たちは意外なところで功績を残したといえるのかもしれない。

シンセで環境音楽などというと、当時喜太郎ぐらいしかなかったけど、80年代にはディメオラですら、ギターシンセを手に取り似たようなことをやり始めるのだから(評判は悪かったようだが)、こういう癒しの音楽みたいなものを作り始めて一つの売れるジャンルとしてフュージョンミュージシャンが仕上げていった。これは音楽の歴史の中でも意図されなかった意外な副産物だったと思う。

もっとも本家のフュージョンはこの81年を境にだんだんポシャって行くわけだが…

このメセニーのアルバム、全体に変化があってどの曲も同じでないのがいいのか悪いのか。私はだめだと思う。傑作の曲を他の曲がぶち壊し、どうも屋上部屋で熱く語ったメセニーのジャズがなんだったのか見えてこない。

それでもこのアルバム、この時代を感じるには十分面白い一枚だと思う。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度:メセニーが語ったジャズはもう少し後の時代になり、ジャズに彼が戻ってくるとき明らかになるようです。彼はフュージョンの悪口をさんざんジャコのレビューで言ってますが、その彼がフュージョンブームがあったからメジャーでミュージシャンとして生活できたのは皮肉ですね]
posted by ロック小僧 at 19:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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