2010年03月17日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト11 [Inner Urge] 【もっと日本で知られて良かった職人の一枚】

人は才能があっても時の運とか勢いとかがないこともある。芸術の分野に関わった人たちはみんなそんな人たちばかりだろう。

特に一般の人に周知されビジネスとして成功するには、技術とか感性とか表現とかそういうものと別種のものに恵まれないといけない。



それがない人は世を呪うか、そうでなければ好きなことをやっても黙々と生きられる道を進む。

そうやって職人肌で生きている人の中にはその分野の中にいる人たちだけに尊敬される人がいる。

Inner Urge. Larry Coryell. High Note. 2001.


INNER URGE
INNER URGE

というわけで、日本のギターファンの中ではほとんどというか、まったく知られなかった名人中の名人、ラリーコリエル。このブログではハービー・マンのバックでちょっとジミヘン風の熱狂的ギターを弾いていた[過去記事参照]のをすでに一つ取り上げている。

ほかにもアルディメオラが全盛期にデイヴィッド・レターマンショーに出たずいぶん前のビデオがあって、その中で、彼は影響を受けたギタリストの名前を三人上げていて、ジャンゴ・ラインハート、ジョン・マクラフリン、そしてこのラリーコリエルとずばり言っている[youtubeを見てください]。

ということは、スーパーギタリストにアイドル視されているギタリストだったということだ。まさにギタリストのためのギタリスト、職人中の職人といえる。

その彼の2001年のこのアルバムは、前回ジャズギターとはなんだろう、1から3までのタイプがあるね[過去記事参照]という話をした中で、1から3まで自然にさりげなくこなす。

ほんとうにさりげない。さりげないの意味がなくてもいいではなく、アルバムとして完璧なまでに溶け込んでいるということだ。

ギターの音もパットメセニーの変なもこもこ音ではなく、ギターらしい気持ちのいい音。単音でもコードメロディーでもなんでもこなす。ギターともトランペットとも妙に溶け込む。ないとおかしい。ジャズギターなんてなくてもいいんじゃないのと思う人もいるかもしれないけど、このアルバムはないとおかしい。ターメリックを入れないカレー、ジャガイモを入れないシチュー、牛肉を抜いた牛丼のようになる。

それだけ、ジャズの曲の中でギターが何ができるかというのがよく見えるアルバムだ。

曲としては、エキサイティングなラテン風の一曲目CompulsionやアコースティックギターとベースでR&B風に弾きまくる四曲目Tonk(たぶんホンキートンクということなのだろうか?)が良いが、一番すばらしいのは六曲目Allegra's Ballerina Song。美しいピアノの曲調にやわらかく身をゆだねるかのように乗るギター。ただ甘いのではなく刺激的で挑戦的でもあるパッセージ。

ああ、ジャズギターは美しいんだ。

そう言える一曲。

アルバムのジャケットも面白くて、ツアーでいろんな国に行くミュージシャンを漫画風に描いているが、ギターケースにはなぜか「ANA」と「JAL」のステッカーが。

[スイングジャーナル誌ランキング:2001年からのアルバムは、スイングジャーナル誌のランキングに該当しません]

[初心者・入門者へのお勧め度:ジャズギターとはなんなのかを気持ちのいい音で聞きたければ真っ先にお勧めしたい一枚。コリエルとディメオラの競演はユーチューブでいくつか見れます]

【お知らせ】
*日本ブログ村には以前から入っていたのですが、使い方が分からず、何もしていませんでした。もしよければポチっと押すボタンをつけましたので押してみてください。

これまであちらから見に来てくださった方たちもいらっしゃったと思います。ありがとうございます。



posted by ロック小僧 at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月10日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト10 [Trio 99→00] 【サックスだと思って聴くと気持ちの良い一枚】

ジャズを聴くようになったのは、ジャズとはなんだろうと興味を持ったからではなく、ジャズギターとは何だろうと興味を持ったからだった。ジャズは占領軍の持ち込んだ音楽で(!)ジョンウェインやら何やら洋画が好きだった父と一緒に小さい頃連れられていった映画館でよく耳にする音楽だと子どものときから理解していた。



特に中学時代にプログレバンド、イエスのギタリスト、スティーヴ・ハウがジャズギターのようにギターを弾くというのを読んだことがあって、確かに他のロックギタリストとは違う弾き方をするなとは思ったが、しかしジャズギターというのはなんだろうと思っている間に気がつくとフュージョンブームの真ん中に放り投げられ、ますますジャズギターとは何なのか分からなくなる始末。

結局ようやく最近、以下の結論に至った(ってそれから何十年経っているんだ?)。

結論:ジャズギターというものは総体としてはない。チョーキングとか、アンプを歪ませるとか、ライトハンド奏法のような常に最新鋭の革命的な弾き方や音を開発・追求するようなギタリスト「集団」はジャズにはいなかった。カントリーやロックと違い、ギターがなくてもジャズはぜんぜん気にならないという冷酷な事実がある(この違いは大きいね!)。しかし以下のようなことをやればジャズ音楽の中でギターにも役割を与えられたようだ。

タイプ1.ロック・ポップスのように歌や他の楽器のバックでコードを弾いて、ときどき単音中心のいかにもギターらしいソロもやる。フュージョン系の人はみんなこれ。ウェスモンゴメリーもこれといえばこれ。

タイプ2.コードメロディーと呼ばれる奏法で、ピアノのように一人でコードを用いてその中に主メロディーも埋め込む。ジョーパスやアールクルーなど少数派。しかしクラシックギターと発想は違いはない。

タイプ3.ギターという楽器ではあるが、トランペットやサックスのような管楽器の音運びをする。単音で弾いても1のようなギターらしいメロディーにならない。

ということで、ジャズギタリストはこれのどれか、またはどれかを中心に他をブレンドしているというのが分かったのはいいのだが、3の人は何もそういうことをギターでしなくてもいいのでは、と思うのだが、そんなことをする理由は一体何?

Trio 99→00. Pat Metheny. Warner Bros. 2000.

トリオ99>00
トリオ99>00


ということで、3の色が濃いミュージシャンとしてパットメセニーをあげるわけだけども、このアルバムは同じトリオのフォーマットでやっているクエスチョン&アンサー[過去記事参照]と比べると、ちょっとだけ違いがある。

クエスチョン&アンサー
クエスチョン&アンサー

それは、前回のクエスチョン&アンサーは非常に3っぽかったけど、今度のアルバムでは1と2の要素も華麗に無理なく融合しているところ。

曲で言えば、まあ、無理に分けることになるけど、タイプ1が、4、10曲目、タイプ2が3、5、7、9、11曲目、タイプ3が1,2、6、8という感じで、演奏の仕方が非常に総合的にかつ完成している。

彼はオーネットコールマンが好きなんだそうだし、今回もコルトレーンのジャイアントステップをやっているところから、明らかにサックスをの音運びを意識している。

ギターを弾く人なら分かるけど、ギターでソロをとると手の指が広がる範囲で音をつなげなければならないから、普通は隣接した音をつなげて行って突然音が上下に飛ぶようなことは滅多にないんだけど、管楽器にはそんな制限はないのでやりたければどんな音でも飛び飛びでしかも超高速でつなげられる。

たぶんメセニーはそれが管楽器の特徴と考えているだけでなく、「ジャズそのもの」と捉えているんじゃないのかなあ。ジャズギターなるものがあるかどうかは実は問題ではなく、ジャズがあれば、それを奏でる楽器は何でも良いのだ!そして彼にとってはジャズとはコルトレーンとかオーネットコールマンの奏でるメロディーラインなのだ!と。

そう考えて、頭の中で特にタイプ3の曲中のギターの音を全部サックスに脳内変換して聞いてみると、これが非常にいい。更にそう思って前回のクエスチョン&アンサーも脳の中でサックスの音に置き換えるとこれがいい!

クエスチョン&アンサーを聞いたとき、どう聞いたらいいのか分からずになんだか消化不良だったが謎が解けてすっきりした気分だ。

ただ、どうしても残念なのが、変なもこもこ、ぽこぽこしたギターの音。前回もそうなのだが、何でこんな音をわざわざ選ぶのだろうか。管楽器を真似しているのかもしれないがそれにしても、もっとギターらしい丸い音というのはいくらでも作れる。それにドラムのシンバルがうるさい。ヘッドフォーンで聞くとギターの音を聞こえるようにするために音量を上げざるを得ないけど、そのためにかえってシンバルばっかり聞こえてくる。前回はもっとひどくて、それよりは今回は少しはましとも思うが、これは明らかにエンジニアのミス。

それでも何とか脳内サックスの音を鳴らすと、ジャズらしい美味しいところがたくさんたくさん感じられるから妙なアルバムだ。

とは言っても、一番これはいい!と思うのは、最後の誰がどう聞いてもカントリー調のTravelsで、これがすごくいい!と思うのは、このアルバムの聞き方としては邪道なのだろうか?とてもギターらしいんだけど…

[スイングジャーナル誌ランキング:あっと驚きタメごろおおおぉぉぉ!!なんと99位に入ってます。しかし普通のジャズ好きの方はよほど新しいアルバムは聞きたくないのでしょうか、昔のばかりですねこのランキング]

[初心者・入門者へのお勧め度:ジャズギターでありうる弾き方が詰め込まれた秀逸な一枚だけど、脳内で音をいろいろと変換する必要があります]



posted by ロック小僧 at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月03日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト9 [Isla del Sol] 【ジプシーキングスにそっくりでディメオラより速い一枚】

風邪をひいた。ちょっと時期はずれな気もするがH1N1かもしれないと思い、医者に行く。



しかしもうH1N1かどうかは関係ないようだ。世間が世のニュースを忘れるのは早い(というかWHOがもう深刻ではないといったからなんだろうけど)。抗生物質をもらい鼻水が垂れるのを止める薬をもらう。

寒いのかあったかいのか、温暖化は本当に進んでいるのか、そうでないのか、さっぱり分かりませんが、みなさんもお体には気をつけて。

Isla del Sol. Armik. Baja/TSR Records. 1999.

Isla del Sol
Isla del Sol
ということで、ジプシーキングスというのがすごい流行ったことがあった。もう皆バンボーレイヨー、とかボーラーレーとか忘れてしまったかもしれないけど、あのジプシーキングスのような音楽をもっと聴きたいという人にはお勧めのアーミック。CD店によってはジャズに入れられたり、ワールドミュージックに入れられたりして肩身が狭い。

英語版のウィキペディアによると、彼はヒスパニックではなく、何とイラン人。元々はジャズを練習して12歳で既にプロとして活動を始める。その後スペインでなんとあのパコ・デ・ルシアの演奏を見てフラメンコに転向。そして1994年に初めてソロを出し、コンスタントに毎年一枚のようにアルバムを出し続けてこれが5枚目のようだ。

で、音楽が、というかバックの音の作りまでも完全にジプシーキングスなんだけど、アーミックのギターはすごい。まるで日本人にあわせたかのような見事な演歌風のメロディーにアルディメオラを更に早回しにしたような超絶の神がかった速弾きが乗る。彼はピックではなくパコ同様、指で引くんだけども、コードも絡めてその緩急の変化は自由自在。

こんなすごい人がいたんだあーと10数年前、アルディメオラがアルバムを出せば出すほど迷走していっただけに、ギターヒーローを求めてやまない私としては、心の支えになるアルバムだった。

曲はどの曲もよくて、メロディーなどはどの曲も口ずさみたくなる覚えやすいものばかりなんだけど、あえて言えばタイトル曲1のIsla del solで、まず彼のギターに完全に魅了されること間違いなし。ジプシーキングスそのままじゃないか!と思ってしまうかもしれないけど、何度かテーマが繰り返された後出てくる後半の超絶の速弾きで完全にノックアウトされる。

四曲目Tropical Breezeなんて曲はもうタイトルを「夜霧の八戸港」とかそんな感じの日本の演歌のタイトルにでもした方がいいのではないかというくらい泣きの一曲。しかし、演歌っていろんな要素がはいっているんだねえ実はってなんの話、一体。

九曲目Stolen Momentはなんとなく80年代の日本のアイドルが歌ってもよさそうな渚での失恋の一場面。勿論どの曲も歌がないから、タイトルから勝手に想像しているだけだが、心を揺さぶられるのは確か。

最後のUna Guitarraは直訳すれば「一本のギター」なんだろうけど、なんとなく「ギター一本、男道」のようなタイトルに和訳したくなる。バック無しでギター一本で通すんだけど、こんなにギター一本でできる人はジョーパスぐらいしか、いや彼もきっと無理だろうな、と思わざるを得ません。

ちょっとアルバム最初から最後までアーミックの世界になっているのはどうなのかなとも思うけど、物悲しいフラメンコの世界にどっぷり浸りたい人には最高の一枚。


[スイングジャーナル誌ランキング:いやーもうねえ・・・]

[初心者・入門者へのお勧め度:ディメオラのギタートリオやジプシーキングスが好きな人にはぜったいに気に入る一枚]




posted by ロック小僧 at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月24日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト8 [Midnight without you] 【心の懊悩をさらけ出す一枚】

男のセクシーさには二種類あって、強靭な肉体でセクシーというマイルス・デイヴィスのような人もいれば、危なくて退廃的でセクシーというチェット・ベイカーのようなタイプもある。

あ!ちなみに今日書いているのはロック小僧の私です。ギタリストとトランペッターは私に書かせてくださいと女王様にお願いしましたので。



それでチェットベーカーが1988年に亡くなってから久しく後者のタイプがいないなあ、と思っていたら出ました出ました。待ちに待ったスーパースターが彗星のごとく。

Midnight without You. Chris Botti. 1997. Verve.
Midnight Without You
Midnight Without You


というわけで、クリスボッティのこれは二枚目になるのかな。1962年生まれの彼はリーダーとしてデビューしたのは遅かったようで33歳ぐらいの1995年に最初のアルバムを出した。

それでこれが二枚目。ジャケットを見るとちょっと疲れというかしわが顔に目立つ。若者風の服装をしていて、髪も変に長髪なのが不自然で、最近のクリスボッティ・イン・ボストンのようにびしっとスーツを着てしゃきっとしているほうがセクシーさが増すと思う。男は40からがかっこいいなんて女王様が言っていたが、まさにそんな感じ。

Chris Botti in Boston [CD+DVD]
Chris Botti in Boston [CD+DVD]

なんで妙に今回セクシーさにこだわるかというと彼のトランペットが非常に高い技巧で、物憂げに、寂しげに吹ききるからだ。トランペットといえば火の玉のように落雷のようにバリバリ吹くこともできれば、こういう物憂げに吹くこともできる。サックスもある程度できるとは思うが音を出す原理からしてトランペットのほうが物憂げに吹く表現力が高い。

わざとなのか地でやっているのかはこのアルバムだけでは判断できないが、まるで物思いに沈む、深い深い黙考に沈む、言葉にうまくできない心の奥の感情に触れてそれが何か探りあててみる。そんな感じの音色をいともあっさりと出してくれる。

音作りがユーロ調といわれているようだけど、確かにアメリカのジャズのすかっとしたものとは180度違っていて、ヨーロッパの秋の夕暮れの森や川が見えるような曲が並ぶ。

一曲目のThe Steps of Positanoからして、キーボードの悲しい白玉が流れ、クリスのペットが最初の一音を奏でた瞬間、「おお!?チェットベイカーが生き返った?」と思ってしまった。明らかにCTI時代のチェットがスタジオワークでこなしていた「アランフエス協奏曲」(過去記事参照)などのヨーロッパの幻想風の曲と重なる。

きっとわざとだとは思うんだが、あまりにも美しすぎて、そのわざとなんだろうという疑いがだんだん消えていく。さすがに一曲目からこれだと暗すぎると思うのか、二曲目歌入りのMidnight without youは、なんとなくトム・ぺティあたりがけだるく歌うアメリカン・ポップス風になっている。三曲目Regroovableも無理して明るくしているが、後はどんどんヨーロッパの薄暗い石畳の街や森を頭をかがめて通り抜けるような曲が並ぶ。

日本人の持っているマイナー志向の曲回しの感覚にも馴染む。そんな中で、9曲目の女性歌入りのForgivenは最高だ。曲自体がセクシーというのはどういうものか、知りたければこれを聞いて欲しい。曲がセクシーというより心の懊悩をメロディーに載せるとこうなるんだという見本と言ってもいいのかも。これ以上心の内部を音にしてくれたジャズの曲はまだ知らない(もっといろいろ聞けよというだけかもしれないが)。

ああ、また一曲目から戻って陰鬱な懊悩に包まれたい。


[スイングジャーナル誌ランキング:うーん・・・]

[初心者・入門者へのお勧め度:チェットの再来のような気で聞いてしまうし、実はわざとやっているのではないかと思う奏法もだんだん聞いていると気持ちよくなり、次のアルバムを買いたくなる一枚]




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2010年02月17日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト7 [Soulful Strut] 【軽やかな中に意地を感じさせる一枚】

90年代はジャズをずっと牽引してきた大物たちがどんどんなくなっていく悲しい時代だったわ。



1996年にエラ・フィッツジェラルドが亡くなって。本当に世界が変わっていくんだなあって気がした。何か自分の心にぽかっと穴が開いた感じ。

Soulful Strut. Groover, Washington Jr. 1996. Columbia.
Soulful Strut
Soulful Strut

グローバー・ワシントン・ジュニアが亡くなったのは99年だわね。まだ50代なのに亡くなってしまうなんて本当に残念。今でこそスムーズジャズの父なんて言われているけど90年代にスムーズジャズが商業ベースに乗って一定のマスを獲得してここからもっと面白い方向に行ったかもしれないと思うときにと思うと、とても残念。

この後にクリスマスコレクションとかクラッシクを演奏したものはあるんだけど、彼のジャズらしいアルバムとしては最後のスタジオ盤ともいえるわね。一曲目のSoulful StrutとかCan you stop the rainとかポップスでもうみんななじみのある曲。Can you stop the rainの元歌のピーボ・ブライソンの歌い方も芸術的だけど、グローバーのサックスはそれ以上に歌っている。歌の細かいところを再現するだけじゃなくて、明らかに彼自身の「歌」を乗せている。

グローバーは決して聞きやすい短い曲だけをやる人じゃなくて、モータウン時代を思い出してくれれば分かるけど、もともとファンクとプログレッシブロックを足してサックスで吹き通すような音楽をやっていた。その片鱗は彼自身とベースを担当しているGary Hasseが書いた六曲目Village Grooveに色濃く伺えるわ。それから同じGary Hasseが書いた七曲目Headman's Hauntなんかもかなりファンクよね。最後の参加アーティストみんなで書いたUptownも相当野性味のある吹きまくりの曲。昔ながらのモータウン時代の「ミスター・マジック」[過去記事があるわよ!]からのファンなんかはこういう曲のほうがいいわよね。

Mister Magic
Mister Magic

え、昔のCDの紹介はいらない?彼はスムーズジャズの父でいいじゃないか、無理やり昔やってたファンクと結びつけるなって?何言ってんの。スムーズジャズなんて今は言っているけど先駆者は試行錯誤したりジャズじゃないと罵倒されたりウケ狙いだといわれたのをじっと我慢してやってきたのよ。忍耐よ忍耐。できる?

でも彼はポップスをインストにアレンジしたものでも自作のちょっと長めのファンクを感じさせる曲でもきっと楽しんで吹いていると思うわ。どっちかを無理してやっているわけじゃないと思うの。たまたま最初の二曲の歌入りのほうを知っていたり、昔のファンクの曲風を知っているとそう思ってしまうけど、今耳が敏感で心が真っ白なティーンの子達に聞かせたらそんなこと分からないと思う。そういう変なこだわりがなくなったところが90年代の良いところだもの。

バックの音的にも不自然じゃなくて完全に90年代の音楽に溶け込んでいる一枚ね。そういう意味でスムーズと呼ぶことになったのかも・・・

[スイングジャーナル誌ランキング:ここについては何も言うことないわ]

[初心者・入門者へのお勧め度:軽い気持ちで聞いてもいいし、テクニックや表現力に圧倒されるのも良いし。両方まとめてできるすごい人だと思う]




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2010年02月10日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト6 [Side by Side] 【超高速のガラス職人三人が造る独自の世界の一枚】

 ギターとトランペットのアルバムは私が担当して、それ以外では女王の教室の女王様がレヴューを書いていくというスタイルで今回やり始めて、やっと久しぶりに私の出番が来た!

とはいえ、やっぱり少女時代からジャズに浸っていた女王様のレヴューは中々私のようなただのロック小僧が考え付くものではなく人生の大切な歩みのようなものに触れているようで恐れ入る。




でも、もう少しギターの出番を増やしてよ、ぶつぶつ・・・

90年代からは信じられないほどの数のジャズギタリストがデビューしてもうフュージョンだのジャズだのの縛りがなくなってどんな形でもとりあえずはアリのような感じになってはいるが、やっぱり70年代−80年代に活躍したベテランがピークを迎える一枚を聞いてみたいものだ。

The Guitar Trio. Paco de Lucia, Al Di Meola, John McLaughlin. Polydor. 1996.

Guitar Trio: Paco de Lucia/John McLaughlin/Al Di Meola
Guitar Trio: Paco de Lucia/John McLaughlin/Al Di Meola

というわけで、パコ・デ・ルチア、アル・ディメオラ、ジョン・マクラフリンのギタートリオ。1980年に出したフライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコと同じ面子で再び集まった。

フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!
フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ〜スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!

前作では実は二人で弾いている曲が多く、三人でそろって弾いているものはあまりなかったのだが(いや、実はこれは最近知ったことで高校生の時に初めて聞いたときはてっきり全部三人でやっていると思っていた)、今回はリクエストに答えてなのか、タイトルに偽りなしにするためなのか、クレジットから見ると少なくとも全9曲中6曲は三人で演奏している。

その分いろいろなところが細かく切り分けられていて、それぞれが弾くフレーズがガラス細工のように、しかもこういう凄い方たちだから超高速でガラス細工を組み立てているような感じだ。

よくもまあ、こんなに複雑なリズムとか小さいフレーズとか息が合うなあ、と思うくらい。ソロを取ったと思うとすばやくカッティングに周り、主メロディーをハモったかと思うと恐ろしい速さでそのまま二人三人で駆け抜ける。

生ギターの極限まで突っ走るというか、彼らにはそもそも極限がないといったほうがいいのだろうか?

何の工夫もなかった90年代のポップス界のアンプラグドブームなんてのはこれを聞くと思い出すだけで恥ずかしい。

曲調は憂いを含んだ地中海風というか透明度の高い音楽というかそれでもスパニッシュやフラメンコとは違っていて彼ら独自の世界を組み立てている。特に二曲目Beyond the Mirageや四曲目Manha de Carnaval、8曲目Azzuraなどが穏やかな海に面した白亜の家が並ぶ地中海の街の夕暮れという不思議な感じをかもし出している。

誰にも似てない。三人のガラス細工の職人が集まるとこういう感じになるのだろう。

ちょっとフライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコと違うのは、あっちはうわー、凄い盛り上がるなあ、生ギターって凄いなあ、人間本当にこんなに早く弾けるのか?という曲が多かったが、こちらはどちらかというと影を強調しているような感じの曲調が多い。影を丁寧に重ねて織り成していくと、時々重ね目にやわらかい日差しが見える。

フライデイ・ナイトと合わせてページの裏と表のような構成になるアルバムだと思う。

最盛期の脂の乗った三人の演奏が聞ける佳作。

[スイングジャーナル誌ランキング:うーん]

[初心者・入門者へのお勧め度:ギター好きだけでなく独自の世界観に浸れる一枚。あえて言えば地中海のビーチの木陰風]




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2010年02月03日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト5 [Side by Side] 【生涯ジャズが好き!の一枚】

大学院みたいなものが流行っていて生涯教育とか言われているみたいだけど、それって子どもがいなくなって受験者が減った大学が生き残りを画策しているだけみたいに見えてあんまりかっこよくないのよね。




でも確かに人は生涯何かをやりつづけなきゃっていうのは分かるわよ。60歳になったらパッと定年して後のんびり暮らすなんてそんな生活はもうあたしたちの世代には無理っぽいし、きっとやることなくて退屈するだろうし。

Side by Side. Itzhak Perlman and Oscar Peterson.1994. Telarc.

Side by Side
Side by Side

というわけでオスカーピーターソンがクラシックバイオリン奏者のイツァーク・パールマンと作ったこのアルバム。ピーターソンはこの直前に脳梗塞で倒れて、左半身がうまく動かなくなったっていう時期に録音アルバムなんだけど、とてもそれを感じさせないほど軽やかなピアノ。

確かに上から下までだーと走っていくWe get requests[2008年12月12日記事にあるわよ]みたいな全盛期の演奏はないけど、しっかりパールマンのバイオリンを支えて時に絡み合って、時に軽快なソロで表に出てきてすばらしいバランスだわ。

We Get Requests
We Get Requests

それに加えてパールマンのバイオリンの音色がすばらしいわね。ジャズとバイオリンって昔から時々あるフォーマットで、ステファン・グラッペリとジャンゴ・ラインハートとかアルディメオラ・スタンリークラークとやったジャン・リュック・ポンティとか典型かと思うけど、お互いがソロを奪い合ってるようで弦楽器同士だとごちゃごちゃして聞きにくいわ。

やっぱりしっとりとしたバイオリンの弦の響きを最大限に引き出す、そっとバイオリンに寄り添うようなピアノが一番向いていると思うわ。特にパールマンの音色は、すーと伸びてきてどこまでもどこまでも冴え渡っているのよ。このパールマンも実は下半身が不自由な人らしいわね。本当に信じられないわ。

一番いいのはそうね、五曲目Mistyもすばらしいけど、ピーターソンのオリジナルの七曲目Nighttimeかしら。ちょっと陰鬱な思いにふける夜の森を連想させる出だしのテーマからだんだんとジャズらしいスピードとリズムに突入する。典型的な流れかもしれないけど途中で絡んでくるハーブ・エリスのギターソロも良いのよね〜。軽やかなドラムはグラディ・テイトね[11月16日記事で紹介されているわ]

もちろん3曲目Mac the Knifeとか6曲目Georgia on my Mindとかおなじみの曲もいいんだけど、やっぱりお金を出すならオリジナルな曲を聴きたいわよね〜。え?スタンダードを違う演奏者で聞き比べるのも面白いって?いいのよ、そう思う人はそうすれば。好みよ、好み。何か注文つけたいことでもある?

ピーターソンはこの後も左手は往年のスピードには戻らなかったそうだけど、それでも本当にすばらしいわ。生涯ずっとジャズで通した人生。

あこがれる。

[スイングジャーナル誌ランキング:ピーターソンって二枚しかないってないのよねえ…]

[初心者・入門者へのお勧め度:夜になんとなく半分部屋の明かりを消してバイオリンの音色に耳を澄ますのがいいかしら?]




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2010年01月27日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト4 [Return of the Brecker Brothers] 【離れていても熱い魂はいつも一緒の一枚】

好きだった人と別れたり、仲が良かった二人が離れていったり。それって寂しいわよね。新しい旅に出たんだって割り切れればいいけど。きっとそこでいいことがあるんだって分かってればいいけど。



でもアメリカ人の友達が言っていたわ。離れたからって友達が終わったわけじゃないって。何年離れているかなんて関係ないって。いつでも声をかけてくれたら昔とおんなじように抱きしめあえるのが友達だって。

Return of the Brecker Brothers. 1992. GRP.

Return of the Brecker Brothers
Return of the Brecker Brothers

ということでブレッカー・ブラザーズが1992年にリユニオンして出したアルバムがこれなのよねー。って部長のブログ全部読み直したけど、ブレッカー・ブラザーズのヘビーメタル・ビーバップを紹介していないじゃない。

Heavy Metal Be-Bop
Heavy Metal Be-Bop

まったくわざわざ「ヘビーメタル」なんてつけてくれてるんだから部長も真っ先に紹介すればいいのに。変なところが抜けているのよねえ。

え?影でこそこそ悪口言うのは良くないって?悪口じゃないわよ。これは評価よ。ブログに対する正当な評価。何事も評価に耐えられる本物だけが生き残っていくのよ、これからの時代。何か意見でもある?

このリユニオンのアルバムはそうね、もちろん古くからのブレッカーブラザーズファンも、フュージョンがごりごりに押していた時代が好きな人も、あるいは90年代の音楽ってどういうのって知りたい新しい人も十分に楽しめるわ。

ハードでスリリングな曲を楽しみたいなら、一曲目Song of Barryと四曲目Above and Belowね。Song of Barryというのは兄弟と仲が良かったバリー・ロジャースという1991年に亡くなったトロンボーン奏者にささげた曲らしいわ。Above and Belowのほうは兄弟が掛け合いでどんどんソロを取り合ってものすごいスリルだわ。どうもサクソフォーンの弟のマイケルの方が評価が高いような気もするんだけど、兄のランディーも凄いトランペット奏者ね。背筋がゾクッと来たわ。二人の掛け合いだけでなくドラムソロなんかもやっぱり90年代の音だから凄い迫力ね。

でもこれはそういうハードな曲を手に汗を握りながら聴くだけのアルバムじゃないわ。五曲目のThat's all there is to itなんかはランディがひょうきんにレゲエのリズムに乗って歌っているし、六曲目Wakariaなんかもアフリカンビートで面白い仕上げになっているわ。そういえばレゲエってなんか妙に流行ってたわよね。今は一体どうなってるのかしら。

でも多分一番彼らの魅力が出てるのは最後の方よ。R&B風の10曲目Good Graciousとか不思議な陰影に富む最後のRoppongiとか大人の曲よね。オープンカーで夜の首都高とかを流しながら一日の終わりを振り返るのにはいいわよね。Roppongiってあの六本木よ。分かってるの?ランディ・ブレッカーが来日したとき六本木を歩いて得たインスピレーションでできた曲よ。

こうしてみるとほんと、いろんな音楽をベースにごたっと全部混ぜて不思議な調味料をかけて仕上がったようなアルバムだわ。でもエスニックとかそういうつまらない表現じゃないわ。兄弟のずっと暖めていたことがのびのびとリユニオンで実現した。11年ぶりのリユニオンらしいけど、何年経っても二人の間には変わらない熱い気持ちが流れている。

そんな感じの一枚ね。


[スイングジャーナル誌ランキング:そろそろこのスイングジャーナルの情報書かなくてもいいんじゃないかしら?]

[初心者・入門者へのお勧め度:結構熱い、上質のジャズ魂が感じられるんじゃないかしら]





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2010年01月20日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト3 [25] 【大人の男になってゆとりをみせる一枚】

昔アメリカ人の女の子の友人から聞いたけど、アメリカの男って40を過ぎないと男らしくならないんだって。それまではあっちこっちさまよったりふらふらいい加減な仕事をしながら男らしくなるきっかけをあれこれ理由をつけて探し続けるらしいわ。

そういわれればアーノルド・シュワルツネッガーもシルベスタースタローンもいいかげんおじさんになってから人気が出たのよね。まあ、マイケル・J・フォックスなんて結構20代で有名になったのもいるけど。



日本の10代の子どもとか小学生の赤ちゃんのようなのが芸能界で歌うたったりするのもびっくりだけど、アメリカのおじさんになるまで人気がでないってのもびっくりだわ。


25 Harry Connik, Jr. 1992. Columbia

25
25

そういうわけでハリー・コニック・Jrなんだけど最近出たアルバム『恋人たちのラブソング』なんかが結構売れてるみたいね。

恋人たちのラブソング
恋人たちのラブソング

この人ももう80年代からMTVで見た気がするから、いい加減おじさんなんじゃないかしら。

二十歳のときに『20』二十五歳でこの『25』、三十歳で『サーティー』なんて自分の年にあわせてアルバムを作ってるから、一人の男としての成長が見られて面白いのよね。

それにシュワルツネッガーもこの人もあるいはクリス・ボッティもそうだけど、年取れば取るほどハンサムになるのはどういうことかしら?整形でも重ねてるのかしら、まったく。

まあ、いいわ。これを選んだのはやっぱりそれまでの顔つきと違って、しっかりした表情に少し憂いが潜む目つきになったからよ。ええ、ルックスで選んでるのよ。何か問題ある?

私にとっては9曲目キャラバン[11月18日の記事でも見たければ見てね]が気になって。乗り越えなければいけないと思ったんで選んでみたのよ。やっぱりマルサリスみたいなアレンジなのかしら。

でも一曲目スターダストからいいわね、これ。シンプルなピアノと歌だけのアレンジの曲が多くて、ちょっと地味かもしれないけど、彼の息吹というか命の脈動みたいな、自信のようなものがどの曲にも溢れているわ。

彼はニューオーリンズで育ったようで、ジャズといってもそういう要素のほうが強いようだわ。ピアノにしても歌い方にしても。そういえば行ったことあるわ。ニューオーリンズのバーボンストリート。あそこはあの中で歌ってる人よりもそこからちょっと外れた道端でパフォーマンスしている人たちのほうが演奏がうまいのよね。

ああ、いけない話がずれた。やっぱり10曲目のLazybonesね、そういう彼のルーツが見えるのは。ジョニー・アダムスっていうニューオーリンズを拠点にしたR&Bシンガーとオルガンをバックに楽しそうに歌ってるわ。なんか息子とお父さんの掛け合いみたいでほほえましいわね。このジョニー・アダムスって歌手は日本にも来たみたいね。彼も50歳過ぎてから世界的な名声を得たのだから人生って分からないものね。

9曲目キャラバンはピアノだけで、ゆっくりとやっていて、マルサリスともクリフォード・ブラウンとも違っていて面白いわね。本人が書いているライナーを読んだら、「らくだでの旅はゆっくりとしたもんだろ」なんて書いているけど、あんた、このキャラバンって曲は開拓時代のアメリカ横断の激しいイメージの曲じゃないの?

でもおとなしいといえばおとなしいんだけど、全曲がんばってる中にもゆとりと遊びがあって、彼が楽しんで演っている様子が見えるようで楽しいアルバムだわ。

[スイングジャーナル誌ランキング:ま、あるはずがないわよね]

[初心者・入門者へのお勧め度:ゆっくり部屋の明かりを落としてワインでもグラスに注いでまぶたを閉じて聞いてみるのもいいわね。あ、彼の得意なビッグバンド・スタイルじゃないのよ]




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2010年01月13日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト2 [Fourplay] 【現代の音を確立した一枚】

先週はなぜ執筆者が女王の教室になっていたのか説明するスペースがなかった。

ブログ再開に当たって、あの女王の教室の天海似の部下が、停まっていた時間を動かしたいから、という理由で、ぜひ一緒にブログを書かせて欲しいといってきたので、彼女の見識はどうも私など足元にも及ばないのでぜひお願いすることにしたのはいいのだが、分担を決める必要があった。



まず私が紹介したいアルバムのリストを作って彼女に持っていった。

部長(以下部)「これが紹介したいアルバムリストだけど、どう?」

女王の教室(以下女)「どれ、見せてみて、なにこれ。アルディメオラ、ラリーカールトン、リーリトナー、パットメセニー、フランクガンバレ、ラリーコリエル、マイクスターンにジョンスコフィールド、アコースティック・アルケミーにビレリ・ラグレーンだあ?」

部「いや、それはその・・・」

女「ぜんぶギタリストばっかりじゃない。ロック小僧のためのジャズギター名盤20にでもするつもり?いくら『ロック小僧』で検索をかけると忌野清志郎を差し置いて一位に検索されるからってちょっとやりすぎじゃないの?」

部「いや、だって、90年からは、昔のベテランに加えて新しい凄いギタリストが出てきてるもんだから」

女(私を無視して)「それになんですか、このピーターフランプトンって。ショー・ミー・ザ・ウェイとかやってた70年代のロックの人じゃないですか。ショーン・レーンって一体誰?それにアーミックってフラメンコじゃないですか。もう滅茶苦茶」

部「いや、ショーンレーンはメタル小僧に影響を与えて・・・アーミックはジャズから新しいタイプのフラメンコを作った人でぶつぶつ・・・」

女「ペンを貸しなさい。私が少し手直ししてあげるわ」

部(ひーちょっと怖い)「お願いします」

女「こーね、ちょいちょいと。でもこうかしら、ちょいちょいと」

部「あーいいね、何かカラフルになった」

女「何か軽い感じもするし、年代のつなぎ方に穴もあるけど仕方ないわね。じゃあ、部長はギターの人のときは担当して。私はそれ以外を担当するわ」

部「え、私はトランペットもいいかな。好きなんだ」

女「好きにすれば」

という感じで執筆を分担することになりました・・・

Fourplay. Fourplay. 1991. Warner Bros.
Fourplay
Fourplay

というわけで、1991年に出たこの輝かしいフォープレイのアルバム。ギター小僧の私としてはリー・リトナーのプレイが気になるわけだが、テク全開ではなく、丁寧にメロディーの一部を構成しバンドに溶け込んでいるところが新鮮だ。

ピアノとギターがメロディーを交互に取り合うそれぞれの楽曲の緻密さは相当にリハーサルをしたはずで、いわゆるジャズメンが集まって、はい、ばーんと一発で取りましょう、というものではない。

ジャズというよりポップスの主メロディーをピアノとギターに置き換えましたといったほうがよい。これがスムーズジャズなる当時の新しい分野の決まった形式なのかはどうかさておき、どの曲もまるで歌が聞こえてくるかのような、しっかりした主メロディーがある。

80年代の過剰なハイテクMTVポップスの嵐もすでに落ち着いて、大人がじっくりと時間をかけて楽曲を構成するとこうなるという感じかな。

格好いいのはやっぱりミステリー小説風の出だしの五曲目Max-O-Manとか、和の琴のような流れの10曲目Rain Forestかな。Rain Forestは繰り返しの中にも穏やかな炎を秘めて、それぞれのメンバーが切なくもはかなく盛り上がっていく。うーん、大人だ。

もちろん他の曲も全て珠玉の出来でどの曲も主メロディーが覚えやすい。ただ、いわゆる、昔のごしゃごしゃしたジャズとかギターがぶいーんぶいーんいうフュージョンかなと思って聞くとその現代ぶりに明らかに面食らう。

かっこいいポップスから歌を抜いたようなものといったイメージで、肩肘張らず聞くといいのかも。


[スイングジャーナル誌ランキング:うーん、入っていません。日本のジャズファンはこれが嫌いなのでしょうか?]

[初心者・入門者へのお勧め度:MTV世代にはまさに肌に馴染む音です。まったく現代の音楽そのものだと思うのですが、ちょっとだけフュージョンに先祖がえりするフレーズなども出てきます。まあ、それも愛嬌、愛嬌]




posted by ロック小僧 at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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