東京に限らず独特の空気を持っている街はいろんなところにある。想像力を刺激したり、何かやらなければいけないという気持ちを起こさせたり。朝のまだ薄暗い中を走らせたり、夜の雑踏をとぼとぼ歩かせたり。
街は新たに人を向かえ、去る人を見送る。何も言わなくても来る人には微笑み、去る人にはお疲れ様でしたと頭を下げているようだ。
そんな街に人が集まればきっと何かが起こる。そんな街なら住んでみたいという気にもなる。
Larry Carlton. Larry Carlton. 1978. MCA Records.
夜の彷徨(さまよい)

というわけで、ロスアンジェルスです。LAです。ここまでずっとマイルスファミリーのことばかりで、少し辛気臭い難解な(生真面目といった方がいいのでしょうか)感じのアルバムも多かったのですが、今日からロスアンジェルスです。
青空です。何をしてもOKです。どんなものでもあります。
ウナギみたいに長いリムジンが走っています。ターミネーターの撮影に使われた場所だってあります。有名人の手形が道路についています。ビキニトップの紐をはずして背中を焼いているお姉さんが寝そべっています。脂っこい中華料理もいくらでも食べられます。
そんな中で、クルセイダーズを脱退したばかりのラリーカールトンが出したソロがこれです。一曲目Room335は明るいです。からっとしています。モーテルに泊まるチャンスがあったら、ホテル・カリフォルニアの部屋番号335に泊まりたいですよね。
私が中高生現役アマチュアバンドをやっていた頃、みんなこの曲を弾いていました。実は何を隠そう、私はこのアルバムを聴いたのはつい最近のことなのですが、針を下ろした瞬間、ああ!この曲だったんだ!とぱああと頭の中に青空が広がりました。
しかし、そういうつもりで二曲目を聴くと痛い目に会います。このラリーカールトンはどうも生粋のペンタトニック・ブルース野郎のようですね。
私の少年時代には、ラリーカールトンとリーリトナーとパットメセニーの違いが分からなくて、さわやかなラグビー部の青年がラリーカールトン、ちょっとおでこの禿げ上がって知的なのがリーリトナー、いかめしい顔つきでライオンみたいな頭がパットメセニーと思ってました。
が、今聴くと全然違います。ここまでペンタでゴリゴリ弾くのは、ブルースではBBキング、ロックではオジーオズボーンのザックワイルドぐらいではないでしょうか。ロベンフォードとかゲイリームーアなどよりも熱い凄いブルース魂が入っています。下手に触るとやけどします。
4曲目のPoint it upでは弾きまくっています。エディ・ヴァンヘイレンも真っ青です。これだけ弾いたらきっと気持ちいいだろうなあ。カリフォルニアの青い空の下できっと涅槃の境地に入れるんじゃないだろうか(-人-)ナムー
ということでラリーカールトンは全然AORではないというのが分かる一枚です。
[スイングジャーナル誌ランク外]
[初心者・入門者へのお勧め度:ロック小僧、ブルース野郎には超お勧めっス。軽いジャズ・フュージョンを期待すると大火傷するっす]


