ジャズ・フュージョン名盤ベスト3で登場したジャコ・パストリアスも若くして頂点を極めてしまい、最後は悲惨な末路をたどった。いろいろ調べると、チャーリー・パーカーをはじめとして天才早熟型ジャズミュージシャンの多くがドラッグに走って命を縮めたようだ。
いっそジミヘンやランディーローズみたいに頂点のときに死んでしまえば神になれるのだが、運命はなかなか人知の思い知るところにはない。
凡人にとっては「40にして起つ」というぐらいなのだから40歳ぐらいで自分がやっていることがはっきり見えればそれで十分ということだ。
天才が40に近づくと凡人になるのか、それとも更なる輝きを増していくのか。それはその天才本人がどれだけ自己規律を保ち知見を広げ、円熟味を増していくか、ということにかかっている。
このブログの読者でアラフォー世代の皆さん。アラフォー世代は天才型が多いと思いますが油断は禁物ですぞ。
Elegant Gypsy. Al Di Meola. Columbia. 1977.
Elegant Gypsy

ということでこのディメオラも早熟天才型で、チックコリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーに参加したときはなんとまだ20歳ですよ!花も恥らう二十歳ですよ!なのにあごひげを生やしてなんやねんこのおっさんは、と私は現役ロック小僧のとき思ってました。
まあ、世間にみくびられないよう、わざと老けたルックスにしてたんだすなあ。年相応になった今はあごひげもなくなり、かえって若返っているし。
でも彼は偉いです。ずっとコンスタントにアルバムを作ってます。
私が一番好きなのはソロ4枚目のElectric Rendezvousでその中のCruisin'という曲なんだけど、こんな楽しくてドライブ感ノリノリのギター曲をいつか作ってみたいと思ってました。私が現役ロック小僧だったときの愛器も彼に憧れて黒のレスポールカスタムでしたよ(コピーだけど(;^ω^))
エレクトリック・ランデブー

しかし、音楽史上影響力の大きいのはこのエレガント・ジプシーかなと思い今日はこっちにしました。
「浪漫の騎士」のすぐ後ですから、あそこでの壮大な組曲、緻密な構成、鬼も悪魔もはだしで逃げ出す超高速奏法とすべて受け継いでいます。少し違うのは、透明で少し物悲しいラテン風味がつけられていることです。
ギターを追いかけるヤンハマーのシンセソロは壮絶です。ビルエヴァンスとジムホールが二人集まって、さあ、何しようかといっていたほのぼのとした頃とは違います。試合、いや死合いと言ってもいいでしょう。
それからはじめて聴いたときに何じゃこりゃあと思ったのが、ギターがパーカッションのように弾き、シンセがギターのように弾き、ベースがホーンのように弾くという不思議なパラダイムシフトです。慣れるまで一体この音は誰が出しているんだろうとあっけに取られるところが多いです。
曲はどれもすばらしいですが、「スペイン高速悪魔との死闘」(なんちゅうすごい邦題じゃ!!)とパコデルシアというまたディメオラと同じ超高速で生ギターを弾く稀代の名ギタリスト二人でやっているなんともいえない透明感とスリルあふれる「地中海の舞踏」を選ばざるをえませんね。最後の「エレガント・ジプシー」も壮大な組曲でなかなかよいです。
一番リターン・トゥ・フォーエヴァーの築いたフォーマットを忠実に引き継いだのがアル・ディメオラだったんだなあ、と現役中学生の頃聞きまくったころは全然知らなかったことがジャズを聴くようになった今初めて理解できて、ちょっと40にして儲けたような気がします。
[スイングジャーナル誌ランク外]
[初心者・入門者へのお勧め度:ロック・クラシック・ラテンが好きなら超お勧めっす。もしかしてロック好きには既に人生の必聴盤だったかもしれませんね]

