2010年01月27日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト4 [Return of the Brecker Brothers] 【離れていても熱い魂はいつも一緒の一枚】

好きだった人と別れたり、仲が良かった二人が離れていったり。それって寂しいわよね。新しい旅に出たんだって割り切れればいいけど。きっとそこでいいことがあるんだって分かってればいいけど。



でもアメリカ人の友達が言っていたわ。離れたからって友達が終わったわけじゃないって。何年離れているかなんて関係ないって。いつでも声をかけてくれたら昔とおんなじように抱きしめあえるのが友達だって。

Return of the Brecker Brothers. 1992. GRP.

Return of the Brecker Brothers
Return of the Brecker Brothers

ということでブレッカー・ブラザーズが1992年にリユニオンして出したアルバムがこれなのよねー。って部長のブログ全部読み直したけど、ブレッカー・ブラザーズのヘビーメタル・ビーバップを紹介していないじゃない。

Heavy Metal Be-Bop
Heavy Metal Be-Bop

まったくわざわざ「ヘビーメタル」なんてつけてくれてるんだから部長も真っ先に紹介すればいいのに。変なところが抜けているのよねえ。

え?影でこそこそ悪口言うのは良くないって?悪口じゃないわよ。これは評価よ。ブログに対する正当な評価。何事も評価に耐えられる本物だけが生き残っていくのよ、これからの時代。何か意見でもある?

このリユニオンのアルバムはそうね、もちろん古くからのブレッカーブラザーズファンも、フュージョンがごりごりに押していた時代が好きな人も、あるいは90年代の音楽ってどういうのって知りたい新しい人も十分に楽しめるわ。

ハードでスリリングな曲を楽しみたいなら、一曲目Song of Barryと四曲目Above and Belowね。Song of Barryというのは兄弟と仲が良かったバリー・ロジャースという1991年に亡くなったトロンボーン奏者にささげた曲らしいわ。Above and Belowのほうは兄弟が掛け合いでどんどんソロを取り合ってものすごいスリルだわ。どうもサクソフォーンの弟のマイケルの方が評価が高いような気もするんだけど、兄のランディーも凄いトランペット奏者ね。背筋がゾクッと来たわ。二人の掛け合いだけでなくドラムソロなんかもやっぱり90年代の音だから凄い迫力ね。

でもこれはそういうハードな曲を手に汗を握りながら聴くだけのアルバムじゃないわ。五曲目のThat's all there is to itなんかはランディがひょうきんにレゲエのリズムに乗って歌っているし、六曲目Wakariaなんかもアフリカンビートで面白い仕上げになっているわ。そういえばレゲエってなんか妙に流行ってたわよね。今は一体どうなってるのかしら。

でも多分一番彼らの魅力が出てるのは最後の方よ。R&B風の10曲目Good Graciousとか不思議な陰影に富む最後のRoppongiとか大人の曲よね。オープンカーで夜の首都高とかを流しながら一日の終わりを振り返るのにはいいわよね。Roppongiってあの六本木よ。分かってるの?ランディ・ブレッカーが来日したとき六本木を歩いて得たインスピレーションでできた曲よ。

こうしてみるとほんと、いろんな音楽をベースにごたっと全部混ぜて不思議な調味料をかけて仕上がったようなアルバムだわ。でもエスニックとかそういうつまらない表現じゃないわ。兄弟のずっと暖めていたことがのびのびとリユニオンで実現した。11年ぶりのリユニオンらしいけど、何年経っても二人の間には変わらない熱い気持ちが流れている。

そんな感じの一枚ね。


[スイングジャーナル誌ランキング:そろそろこのスイングジャーナルの情報書かなくてもいいんじゃないかしら?]

[初心者・入門者へのお勧め度:結構熱い、上質のジャズ魂が感じられるんじゃないかしら]







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2010年01月20日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト3 [25] 【大人の男になってゆとりをみせる一枚】

昔アメリカ人の女の子の友人から聞いたけど、アメリカの男って40を過ぎないと男らしくならないんだって。それまではあっちこっちさまよったりふらふらいい加減な仕事をしながら男らしくなるきっかけをあれこれ理由をつけて探し続けるらしいわ。

そういわれればアーノルド・シュワルツネッガーもシルベスタースタローンもいいかげんおじさんになってから人気が出たのよね。まあ、マイケル・J・フォックスなんて結構20代で有名になったのもいるけど。



日本の10代の子どもとか小学生の赤ちゃんのようなのが芸能界で歌うたったりするのもびっくりだけど、アメリカのおじさんになるまで人気がでないってのもびっくりだわ。


25 Harry Connik, Jr. 1992. Columbia

25
25

そういうわけでハリー・コニック・Jrなんだけど最近出たアルバム『恋人たちのラブソング』なんかが結構売れてるみたいね。

恋人たちのラブソング
恋人たちのラブソング

この人ももう80年代からMTVで見た気がするから、いい加減おじさんなんじゃないかしら。

二十歳のときに『20』二十五歳でこの『25』、三十歳で『サーティー』なんて自分の年にあわせてアルバムを作ってるから、一人の男としての成長が見られて面白いのよね。

それにシュワルツネッガーもこの人もあるいはクリス・ボッティもそうだけど、年取れば取るほどハンサムになるのはどういうことかしら?整形でも重ねてるのかしら、まったく。

まあ、いいわ。これを選んだのはやっぱりそれまでの顔つきと違って、しっかりした表情に少し憂いが潜む目つきになったからよ。ええ、ルックスで選んでるのよ。何か問題ある?

私にとっては9曲目キャラバン[11月18日の記事でも見たければ見てね]が気になって。乗り越えなければいけないと思ったんで選んでみたのよ。やっぱりマルサリスみたいなアレンジなのかしら。

でも一曲目スターダストからいいわね、これ。シンプルなピアノと歌だけのアレンジの曲が多くて、ちょっと地味かもしれないけど、彼の息吹というか命の脈動みたいな、自信のようなものがどの曲にも溢れているわ。

彼はニューオーリンズで育ったようで、ジャズといってもそういう要素のほうが強いようだわ。ピアノにしても歌い方にしても。そういえば行ったことあるわ。ニューオーリンズのバーボンストリート。あそこはあの中で歌ってる人よりもそこからちょっと外れた道端でパフォーマンスしている人たちのほうが演奏がうまいのよね。

ああ、いけない話がずれた。やっぱり10曲目のLazybonesね、そういう彼のルーツが見えるのは。ジョニー・アダムスっていうニューオーリンズを拠点にしたR&Bシンガーとオルガンをバックに楽しそうに歌ってるわ。なんか息子とお父さんの掛け合いみたいでほほえましいわね。このジョニー・アダムスって歌手は日本にも来たみたいね。彼も50歳過ぎてから世界的な名声を得たのだから人生って分からないものね。

9曲目キャラバンはピアノだけで、ゆっくりとやっていて、マルサリスともクリフォード・ブラウンとも違っていて面白いわね。本人が書いているライナーを読んだら、「らくだでの旅はゆっくりとしたもんだろ」なんて書いているけど、あんた、このキャラバンって曲は開拓時代のアメリカ横断の激しいイメージの曲じゃないの?

でもおとなしいといえばおとなしいんだけど、全曲がんばってる中にもゆとりと遊びがあって、彼が楽しんで演っている様子が見えるようで楽しいアルバムだわ。

[スイングジャーナル誌ランキング:ま、あるはずがないわよね]

[初心者・入門者へのお勧め度:ゆっくり部屋の明かりを落としてワインでもグラスに注いでまぶたを閉じて聞いてみるのもいいわね。あ、彼の得意なビッグバンド・スタイルじゃないのよ]




posted by ロック小僧 at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月13日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト2 [Fourplay] 【現代の音を確立した一枚】

先週はなぜ執筆者が女王の教室になっていたのか説明するスペースがなかった。

ブログ再開に当たって、あの女王の教室の天海似の部下が、停まっていた時間を動かしたいから、という理由で、ぜひ一緒にブログを書かせて欲しいといってきたので、彼女の見識はどうも私など足元にも及ばないのでぜひお願いすることにしたのはいいのだが、分担を決める必要があった。



まず私が紹介したいアルバムのリストを作って彼女に持っていった。

部長(以下部)「これが紹介したいアルバムリストだけど、どう?」

女王の教室(以下女)「どれ、見せてみて、なにこれ。アルディメオラ、ラリーカールトン、リーリトナー、パットメセニー、フランクガンバレ、ラリーコリエル、マイクスターンにジョンスコフィールド、アコースティック・アルケミーにビレリ・ラグレーンだあ?」

部「いや、それはその・・・」

女「ぜんぶギタリストばっかりじゃない。ロック小僧のためのジャズギター名盤20にでもするつもり?いくら『ロック小僧』で検索をかけると忌野清志郎を差し置いて一位に検索されるからってちょっとやりすぎじゃないの?」

部「いや、だって、90年からは、昔のベテランに加えて新しい凄いギタリストが出てきてるもんだから」

女(私を無視して)「それになんですか、このピーターフランプトンって。ショー・ミー・ザ・ウェイとかやってた70年代のロックの人じゃないですか。ショーン・レーンって一体誰?それにアーミックってフラメンコじゃないですか。もう滅茶苦茶」

部「いや、ショーンレーンはメタル小僧に影響を与えて・・・アーミックはジャズから新しいタイプのフラメンコを作った人でぶつぶつ・・・」

女「ペンを貸しなさい。私が少し手直ししてあげるわ」

部(ひーちょっと怖い)「お願いします」

女「こーね、ちょいちょいと。でもこうかしら、ちょいちょいと」

部「あーいいね、何かカラフルになった」

女「何か軽い感じもするし、年代のつなぎ方に穴もあるけど仕方ないわね。じゃあ、部長はギターの人のときは担当して。私はそれ以外を担当するわ」

部「え、私はトランペットもいいかな。好きなんだ」

女「好きにすれば」

という感じで執筆を分担することになりました・・・

Fourplay. Fourplay. 1991. Warner Bros.
Fourplay
Fourplay

というわけで、1991年に出たこの輝かしいフォープレイのアルバム。ギター小僧の私としてはリー・リトナーのプレイが気になるわけだが、テク全開ではなく、丁寧にメロディーの一部を構成しバンドに溶け込んでいるところが新鮮だ。

ピアノとギターがメロディーを交互に取り合うそれぞれの楽曲の緻密さは相当にリハーサルをしたはずで、いわゆるジャズメンが集まって、はい、ばーんと一発で取りましょう、というものではない。

ジャズというよりポップスの主メロディーをピアノとギターに置き換えましたといったほうがよい。これがスムーズジャズなる当時の新しい分野の決まった形式なのかはどうかさておき、どの曲もまるで歌が聞こえてくるかのような、しっかりした主メロディーがある。

80年代の過剰なハイテクMTVポップスの嵐もすでに落ち着いて、大人がじっくりと時間をかけて楽曲を構成するとこうなるという感じかな。

格好いいのはやっぱりミステリー小説風の出だしの五曲目Max-O-Manとか、和の琴のような流れの10曲目Rain Forestかな。Rain Forestは繰り返しの中にも穏やかな炎を秘めて、それぞれのメンバーが切なくもはかなく盛り上がっていく。うーん、大人だ。

もちろん他の曲も全て珠玉の出来でどの曲も主メロディーが覚えやすい。ただ、いわゆる、昔のごしゃごしゃしたジャズとかギターがぶいーんぶいーんいうフュージョンかなと思って聞くとその現代ぶりに明らかに面食らう。

かっこいいポップスから歌を抜いたようなものといったイメージで、肩肘張らず聞くといいのかも。


[スイングジャーナル誌ランキング:うーん、入っていません。日本のジャズファンはこれが嫌いなのでしょうか?]

[初心者・入門者へのお勧め度:MTV世代にはまさに肌に馴染む音です。まったく現代の音楽そのものだと思うのですが、ちょっとだけフュージョンに先祖がえりするフレーズなども出てきます。まあ、それも愛嬌、愛嬌]




posted by ロック小僧 at 20:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月07日

ジャズ名盤20(1990-2009)第二回発表ベスト1,[doo-bop]【何度でも聞けるまったく新しい音楽を創造した一枚】

時代は変わる。時代は進む。それを止めることは誰にもできない。でも去ってしまった時代を自分の中で育てて大きくすることはできる。そう、きっと天国にいる彼もいまの後輩たち、子どもたち、孫たちを見てそう思っていることだろう。私にはそれが分かる。

doo-bop. Miles Davis. 1992. Warner Bros.
*マイルスが録音できたのは1991年です。

Doo-Bop
Doo-Bop

時代の幕開けはいつもマイルスで始まっています。しかし今回は、始まりであるとともに一つの時代の終わりにもなっています。マイルスが1991年に録音したこの遺作は、ジャズに存在しない完全に新しい方向性で生まれてそして完結しているアルバムです。



このアルバムのテーマは街で聞こえる音楽に自分のジャズを融合させること。街ではラップやヒップなストリート音楽が聞こえる。それに自分も一体になる。このアルバムの前に出したTutuに入っていたPerfect Wayのような遊びではなく、本当のストリート音楽として通用するものを作る。

マイルスは数人の若手プロデューサーをオーディションし、その中からイージー・モー・ビーを選びました。彼が後ろのトラックを作り、それをマイルスに聞かせ彼が納得すると、「よしやるか」とがっとペットを握りマイクに向かい、まるでボクサーのような一撃でテイクを取る。そうして六曲までできました。

しかしマイルスはその9月にちょっと病院行って来る、軽いいつもの検査だと言ったきり、二度と戻ってきませんでした。

この頃マイルスにはほかにRubberBand Sessionと呼ばれる完成前の途中のテープがありました。今度はモービーがそれを聞きました。よし、これに俺が魂を乗せる!そうして四曲目High Speed Chaseと七曲目Fantasyが生まれました。

こうして完全にストリート音楽の形式とマイルスの魂が融合した作品が生まれました。これまでどこかプラックな感じのするアルバムを作ることを拒んできたようなマイルスですが、ブラックとかそういうことは関係のない時代が訪れました。またジャズなどという殻に閉じこもる必要もなくなりました。

今生きている街から感じられることの全て。それらと時代に果敢に挑戦するマイルスを待ち望んでいる人たちとを一体にする。それがマイルスの夢。そんなアルバムが生まれました。

そして彼の時代は終わりました。ここからは私たちが彼の魂を引き継いでいくのです。

文責 女王の教室
叱咤激励担当 ロック部長

[スイングジャーナル誌ランキング:あまりにもジャズという形式を突き抜けすぎたせいか入っていません]

[初心者・入門者へのお勧め度(担当ロック部長):明けましておめでとうございます。連載再開しました。今回の連載からときどき『女王の教室』の女王様似のあの彼女に執筆を担当してもらうことになりました。新しい時代を生きる決意をした彼女のジャズ観は、この20年のジャズの発展をどう捉えていくのでしょうか?楽しみです。このマイルスのアルバムはどの曲もすばらしく、何度でも何度でも聴くことができます]






posted by ロック小僧 at 19:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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