中学生のとき友達からただでもらったセミアコの国産ギターをディーボのように上半分を切ってみた。その後バンヘイレンのようにテープをべたべた張ってみた。そのギターは最後は切るところがなくなってネックだけになってしまった(ごめんなさい、○○ちゃん)。
トーキングモジュレーターというものをピーター・プランプトンやジェフ・ベックが使うらしいと聞いて、アルミの箱を買ってきてスピーカーを埋め込み、穴を開けてピアニカの管をつけてみた。30Wアンプのスピーカー端子から音を引っ張ってきて、口に管をくわえて弾いてみると、頭が痛くなるだけだった。
大学時代はお金もたまりシンセサイザーで大実験だ。といっても8音しか出ない音源モジュールで大変だ。カラフルで華麗な曲は作れない。発想を変えて、おんなじコードで同じ楽器構成で延々延々続く曲を作ったりした。
音楽は常に少しだけ新しいことをしたから流行っていたんだと思う。
そもそもビートルズが流行ったのは人よりちょっとだけ違う髪形をし続けたからだという。ちょっとだけ髪が長かったり、ちょっとだけもみ上げが長かったりしたのだろう。その進歩的なところが音楽の根源だ。
ジャズはそもそも最初にテーマを吹くと、その後にどんな演奏がくるのかは分からない。アドリブという名の壮大な実験音楽のようにも思うが、実はそうでもないらしく、本当に実験的なフリージャズはあまり好かれていないらしい。フリージャズまで行かなくても、チャールス・ミンガスのピテカントロプス・エレクトスとか、ハービーハンコックの処女航海とか、セロニアスモンクも聞きにくい。
聞きにくいがしかしはまるとミンガスもハンコックも面白い。しかしさすがに新し目でこういう人たちはいないんだろうなと思っていたら、ちゃんといた。
Full Force. Art Ensemble of Chicago. ECM. 1980.
Full Force

うーん、これはすごい。ジャケットに惹かれて買ってみたんだけど、これはどこかの難民キャンプだろうか。何か社会性のあるテーマを演奏してくれそうでおもしろそうだ。
どれどれ、針を下ろしてみよう(CDをかけることです)
うーん、うーん、うーん。実験、実験、また実験。すごいねこれは。なんなんでしょう?子供が泣いていたり、変な笛がなったり?しかしこれは誰かにすごい似ている。というかそっくりだ。生き写しだ。
そう、ミンガスのピテカントロプス・エレクトス。マンモスの鳴き声などを真似していたあのアルバムは衝撃的だったが、これはあの雰囲気をそっくりそのまま受け継いでいるじゃないか。
それもそのはず、三曲目のタイトルがCharlie M.となっている。これはもちろん、チャールス・ミンガスに捧げるということなんだな、うん。
しかし、演奏テクも高そうで、まじめにやっている部分は結構面白い。それぞれの楽器の音もきれいだし。
しかしこれは結構、集中して聞くのはつらい。三曲目あたりでなぜか眠気がしてくる。そして最後の5曲目Full Houseのエンディングで目が覚める。そのエンディングはなぜかジャジャーン、という良くある終わり方ではなく、ピッチ合わせの各楽器のチューニングをやっているみたいだ…
うーん、しかし1980年にジャズとしてこんな実験をやっている人たちがいたのは驚きだ。
[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。入れろというのが無理なのか、フリージャズはみな嫌いなんでしょうか?]
[初心者・入門者へのお勧め度:うーん、いやしかし、うーん、いやしかしと頭をひねりながらしばらく聞いた後、ばたっと深い睡魔に襲われるかもしれません。面白いと思う確立63%ぐらい。ミンガス、モンクが好きな人は文句なしで好きでしょう]