2009年09月28日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト8[Full Force]

中学生から大学生まで音楽は実験だ、と思っていた。常に新し物を求めて変化するのが音楽だと思っていた。疲れることもあったが、面白かった。

中学生のとき友達からただでもらったセミアコの国産ギターをディーボのように上半分を切ってみた。その後バンヘイレンのようにテープをべたべた張ってみた。そのギターは最後は切るところがなくなってネックだけになってしまった(ごめんなさい、○○ちゃん)。

トーキングモジュレーターというものをピーター・プランプトンやジェフ・ベックが使うらしいと聞いて、アルミの箱を買ってきてスピーカーを埋め込み、穴を開けてピアニカの管をつけてみた。30Wアンプのスピーカー端子から音を引っ張ってきて、口に管をくわえて弾いてみると、頭が痛くなるだけだった。

大学時代はお金もたまりシンセサイザーで大実験だ。といっても8音しか出ない音源モジュールで大変だ。カラフルで華麗な曲は作れない。発想を変えて、おんなじコードで同じ楽器構成で延々延々続く曲を作ったりした。

音楽は常に少しだけ新しいことをしたから流行っていたんだと思う。

そもそもビートルズが流行ったのは人よりちょっとだけ違う髪形をし続けたからだという。ちょっとだけ髪が長かったり、ちょっとだけもみ上げが長かったりしたのだろう。その進歩的なところが音楽の根源だ。

ジャズはそもそも最初にテーマを吹くと、その後にどんな演奏がくるのかは分からない。アドリブという名の壮大な実験音楽のようにも思うが、実はそうでもないらしく、本当に実験的なフリージャズはあまり好かれていないらしい。フリージャズまで行かなくても、チャールス・ミンガスのピテカントロプス・エレクトスとか、ハービーハンコックの処女航海とか、セロニアスモンクも聞きにくい。

聞きにくいがしかしはまるとミンガスもハンコックも面白い。しかしさすがに新し目でこういう人たちはいないんだろうなと思っていたら、ちゃんといた。

Full Force. Art Ensemble of Chicago. ECM. 1980.
Full Force
Full Force

うーん、これはすごい。ジャケットに惹かれて買ってみたんだけど、これはどこかの難民キャンプだろうか。何か社会性のあるテーマを演奏してくれそうでおもしろそうだ。

どれどれ、針を下ろしてみよう(CDをかけることです)

うーん、うーん、うーん。実験、実験、また実験。すごいねこれは。なんなんでしょう?子供が泣いていたり、変な笛がなったり?しかしこれは誰かにすごい似ている。というかそっくりだ。生き写しだ。

そう、ミンガスのピテカントロプス・エレクトス。マンモスの鳴き声などを真似していたあのアルバムは衝撃的だったが、これはあの雰囲気をそっくりそのまま受け継いでいるじゃないか。

それもそのはず、三曲目のタイトルがCharlie M.となっている。これはもちろん、チャールス・ミンガスに捧げるということなんだな、うん。

しかし、演奏テクも高そうで、まじめにやっている部分は結構面白い。それぞれの楽器の音もきれいだし。

しかしこれは結構、集中して聞くのはつらい。三曲目あたりでなぜか眠気がしてくる。そして最後の5曲目Full Houseのエンディングで目が覚める。そのエンディングはなぜかジャジャーン、という良くある終わり方ではなく、ピッチ合わせの各楽器のチューニングをやっているみたいだ…

うーん、しかし1980年にジャズとしてこんな実験をやっている人たちがいたのは驚きだ。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。入れろというのが無理なのか、フリージャズはみな嫌いなんでしょうか?]

[初心者・入門者へのお勧め度:うーん、いやしかし、うーん、いやしかしと頭をひねりながらしばらく聞いた後、ばたっと深い睡魔に襲われるかもしれません。面白いと思う確立63%ぐらい。ミンガス、モンクが好きな人は文句なしで好きでしょう]
posted by ロック小僧 at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月26日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト7[Heavy Weather]

フュージョンお兄さんというのがいた。

あれは私が中学生の頃だった。ディープパープルのバーンやハイウェイスター、ツェッペリンの天国への階段やクリームのストレンジブルー、クロスロードなどを完コピできるようになり、さあ、ドラムとベースでもいればバンドデビューできるのに、と虎視眈々(って14歳だったけど)誰か一緒にやってくれるいい人いないかなとスカウトするつもりで(本当に14歳?)、アマバンの演奏を見にいくと、なぜか、その頃パープルやツェッペリンをやっているグループは皆無だった。

その代わり、ベースの弦をンペンペ引っ張るヘアバンドを巻いたお兄さん、ヴァンのボタンダウンシャツを着たさわやかなお兄さん、なぜか妙にテクがあるドラムのお兄さん。にぎやかなパーカッションお兄さん。そしてとどめにかわいいキーボードのお姉さんが何やら歌のない軽い感じの曲をやっていた。

これがフュージョンお兄さんたちだ!

フュージョンお兄さんたちを見ると、うーん、歌があったらもっと楽しめるかな、などと思いつつ、あの人はテクないね、あの人はうまいねなどとじっくり吟味していた(おいおい、その頃14歳だろ?)。フュージョンはテクがあるかないかばれやすい。

コンプレッサーをかけすぎのギターお兄さんは常に軽蔑の対象だった。

そんなお兄さんたちがお客を総立ちにさせる曲はいつも決まっていて、一曲目はギターが突然ずっこけたように始まる、今思うとラリーカールトンの「夜の彷徨」に入っているルーム335、そして二曲目はこのアルバムの一曲目だったんだなあ。

Heavy Weather. Weather Report. 1977. Columbia.
Heavy Weather
Heavy Weather

もう無条件に体がうきうき反応する1曲目Birdlandは、必ず総立ちノリノリだった。やられるほうは「やられたー」と思いながら、仕方なく総立ちに付き合わざるを得ない。

これと同じパワーを有する曲があの頃のロックお兄さんにはなかった。ツェッペリンもクリームもパープルもなんか白けていた。

オールド・ハードロックのちょうど衰退期だったんだなあ。ジョンボーナムも死んじゃったし。

そんな誰がやってもかっこいいBirdland以外の曲はどうなのか。哀愁漂うジャコパスのフレットレスベースの二曲目A Remark You Madeもいいし、ちょっとミステリアスな三曲目Teen Twonも面白いし、物静かな海辺が情景に浮かぶHarlequinもいいし。あれもこれもそれもこれも。

なんか悪い曲がないのもどうなんだろう?

それにこの音作りとかコード展開ってこの後、日本の大人の歌謡曲とか日本のJazzuシンガーとかに真似されててすごい氾濫していたように思うなあ、あれ、聞いたことあるぞここだけ。ていうのがとても多い。

それだけ避けて通れないアルバムなんだろうけど、個々の演奏も最盛期という感じでまとまっていてもうっかりアマチュアがコピーはできない。そんな感じで忘れられない一枚だなあ。

[スイングジャーナル誌ランキング:なぜか、なぜか30位です!みんな大好きだったんですね]

[初心者・入門者へのお勧め度:曲としても完璧、個々のテクも完璧、これ以上何を望めばいいのでしょう?フュージョンの完成形です。あえて言えばギターがいないのが寂しい。アマバンで聞いたときはいたような記憶が…]
posted by ロック小僧 at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月19日

ジャズ名盤20(1970-1990)第二回発表ベスト6[No Mystery]

 今日は久しぶりにおいちゃんのレコード屋もといCD屋(というのだろうか…)をのぞく。ここしばらく、部下の女王もどきのジャズへの造詣の深さに驚く毎日だったが、いかんせん彼女とは仕事以外での会話のきっかけを作るのが難しい。

たまに一人でぼうっと好きなものでも聞くか・・・

おいちゃんは元気そうだ。

お:あのさあ、あの、のだめもどきちゃんね、あれから何か聞いてないの?なんかちょっと寂しくてね、前よく来てくれたから。

部:うん、結婚してからぜんぜん連絡ないし。東京に住んでないし。

お:そう寂しいねえ。まあ、今日は活きのいいCDが入っているからゆっくり見ていきなよ。

と江戸っ子堅気まるだしだが、何やら元気がない。ちらほら店内にいるお客さんを見る。どうも定年したばかりの人と見られる世代の人が必死にジャッキー・マクリーンのCDを漁っている。ブックオフでも以前見かけた光景だが、ジャズのCDを買うのは、もうこの世代以外にいないのだろうか。

そう考えるとおいちゃんの寂しさの理由もなんとなく分かる。

何気なく並んでいるCDを見ると、懐かしいものがある。

No Mystery. Return to Forever. Polydor. 1975.


No Mystery
No Mystery

お:あれ、それ、まさか知らないの?そんなことないでしょ?

部:いや、懐かしいなあと思って。大学出てアメリカに行ってすぐ小さいレコード屋で買ったかな、ていってもアメリカってなぜかテープ屋で。

お:あー、そうだね。80年代−90年始めぐらいのアメリカって、カーステレオでテープ聴く人が多かったから、音楽はテープでしか売ってなかったんだよ。CDは日本より普及の速度が遅かったんだな、これが。

部:うん、そうそう、それでカセットで買うと中にライナーも何にもなくて。かろうじて曲名が分かるようなぐらいで。

お:うん、うん、それでどうなの、ロック部長は(おいちゃんは私のことをロック部長と呼ぶ)やっぱり、これにはまったの、大好きなアルディメオラでしょ。

部:うーん、そうだね、聞いたとき、ああ、アルディメオラの「エレガントジプシー」みたいで、なんか安心して。この辺にルーツがあるんだなって思って。でもキーボードがうるさいな、とか。へー、スタンリークラークってこんなことしていたんだとか。

お:そりゃチックコリアだもん、アルより目立たなきゃ。

部:そうなんだよね。アルディメオラのソロアルバムはヤンハマーというやっぱり稀代の名キーボーディストが支えたけど、対等の関係というか、真剣勝負というか。つかず離れずというか。でも、このリターントゥフォーエヴァーは、アルはグループの一人という感じが強いよね。

お:へえーどの辺にそう感じるんだい。

部:うーん、曲を完成させるためにアルはあるみたいな(沈黙)

お:やだねえ、若いのにいまどきそんなオヤジギャグ飛ばさないでよ。

部:え、うん、ほら、ディメオラがソロでワウワウを踏むことはなかったんじゃないかと思うけど。このNo Mysteryは、二曲目Jungle Water Fallや四曲目sofistifunkでも使ってて驚いた。嫌がるのをチックコリアに踏まされたんだ、きっと。音が合うからとか言われて。

お:うーん、そう?でももう一枚の「浪漫の騎士」よりは、個人の特徴がずいぶん出てるよ。

部:確かにディメオラ節炸裂してる曲も多いし、スタクラも超絶速弾きをさらっとこなして。うまい感じでファンクのリズムの曲も多いし。

お:そうだねえ、クロスオーヴァーとかフュージョンて、もうこの年代になるとどういうのが売れるか分かっていたのと、ファンクのリズムも普通のポップスに取り込まれているから、売れる音楽を作りやすかったんだろうねえ。まあ、受け入れられやすいってのかな。

部:そういう意味では、「浪漫の騎士」のほうが変に楽曲を作りこんだんだろうね。

お:そうだよ、各メンバーの力量とか、楽しんでやってるかどうかってのはこっちのNo Mysteryのほうが上だあな。

部:確かに。聞いて外れない、元気なフュージョン!って感じはするよね。でも未だに、この人たちの宇宙志向って言うか、変な2001年宇宙の旅みたいな感覚とか大げさな節回しとか誰のセンスか分からないんだ。ラテン感覚はディメオラ、ジャズはチックだろうけど…

お:お?知らないの?これはメンバーの一人の…内緒内緒・・・今度CD教えてあげるよ。それ聞けば一発で誰のせいでRTFが大げさな宇宙志向になったか分かるよ。今日はそれを買うんでしょ。次来た時教えてあげる。

部:え?これ、もう耳にたこでできるくらい聞いたから今日はいいよ。ジャケットがディープパープルのバーンみたいで見てて苦しいし。

お:あ、そう。

[スイングジャーナル誌ランキング:入っていません。リターントゥフォーエヴァーは10位に例のかもめのジャケットが入っていますが、あれを聞けるくらいなら、こっちのほうが良いのでは・・・すみませんかもめファンの皆さん]

[初心者・入門者へのお勧め度:血がたぎるというか、熱くなれるというか、すごいぞ、みんなの演奏力!そして楽曲が短いのが気にはなりますが、楽しい曲も多いです。浪漫の騎士とは志向性が違います]
posted by ロック小僧 at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。