そこで時間が止まっていた。
夏の間に何があったのか、気になったから8月の終わりのある日、部長に聞いてみたの。それも、何か会社の中では言いたくなさそうだったから、わざわざジャズ喫茶を探して。
ジャズ喫茶なんて、今の時代、もう絶滅しているから探すの大変だったわ。ジャズを流すデパート売り場はいくらでもあるのに、変な世の中になったものね。
それはそうと、部長は最初うつむいていたけど、未練がましくもなく、さっぱりした顔で、会社をやめるんだっていうのよ。
え!っと思ったわ。だって、法務部兼セクハラ担当班を無事勤め上げたら、彼も役員の一人になるって社長に言われてたのよ。社員のままだから執行役員って言うやつかしら。
それで聞いたみたのよ。どうしてそうなったのかを。
そしたら、ただ、何か違うことをしたいんだって。
何をするのって聞いたら、
そうだなあ、とりあえず、フランスのボルドーに行ってマラソンでもしてくるか・・・それからパキスタンのフンザっていうところに行って、桃源郷でも見てくるか・・・
なんて非現実的なことを言うのよ。
非現実的だけど・・・でも人生の中ではそんな時間があってもいいのかも。
で、それって、何をするかまだ決まってないってことって聞いたの。
そうしたら、まあ、いいじゃないか、全部決まって無くても。
まだまだ人生長いんだから。
なんて、達観したみたいなことを言って・・・
そのときハッと店に流れている音楽に気づいたの。ハービーハンコックのスピーク・ライク・ア・チャイルドだわね。
Speak like a child. Harbie Hancock. Blue Note. 1968.
Speak Like a Child

そういえば、子供のときは、夏休みの宿題はあるけど、どう人生生きるべきだとか、どっちの方向に行かなきゃいけないとか、そういうことは何もなかったわね。
そう・・・
じゃ、部長、ブログはどうするのって聞いたら、そうだね、ちょっとお休みをして、元気が出て、新しいことが形になったら、また書いていきたいって。
だからしばらくの間お別れね。私が書いてもいいって部長は言ってたけど、これは部長のブログだもの。
だからみんなで部長の新しい旅立ちをお祝いしてほしい。今どこにいるか分からないけどきっと戻ってくる。
別れはさようならではなくて、新しい生命が生まれてきたお祝いなの。
みんな、だからまた会える日までしばらく待っていてね。
え?私?そうね、ジャズにまた戻ってくることも出来たし、NYでティーンのときに辞めてしまっていた画でもまた描いてみようかな。
あれからずいぶん時間が経っちゃった。もうクリスマス。
本当にみんな、メリークリスマス。みんなで自分の中の新しい生命の誕生をお祝いする日。
じゃあ、またみんなで街のどこかで会いましょう!
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*しばらくのお別れです。みなさん、またお会いしましょう!






























